2009年12月15日

引き続きドイツ母Moonladyの仔がオープン馬に

 前回取り上げたミッションモードに続き、13日にも阪神500万下エリカ賞でドイツ母を持つ馬が勝ち上がった。

 エイシンフラッシュ

 母の名はMoonlady(父Platini)。2000年の3歳時のみ走り、9戦6勝(うち重賞4勝)を収めて、世代最強牝馬に君臨している。2001年に渡独した私は生で見ていないのでRoyal Fantasyのような思い入れはないが、一応この機会にビデオを見てみたところ、なかなか惚れる走りっぷりの馬ではないか。

 春は未完成だったためヘンケル・レネン(独1000ギニー)にもディアナ賞(独オークス)にも出走していないのだが、思い切って挑戦したハンブルクでの牝馬G3(2200m)で直線の競り合いを制し、驚きの重賞勝利。続くブレーメンでの内国産牝馬限定準重賞では圧倒的人気で余裕勝ち。ここでエーレンホフ牧場から馬主がゲーリー・タナカ氏に移り、緑と白の勝負服でハノーファーのドイツ牝馬賞(G3, 2400m)に出走。他馬を捻じ伏せ、重賞2勝目を上げる。レース振りは基本的に先行から早めに先頭に立ち、力で押し切るパターンだ。ここまでのレースでの着差はどれもそれ程大きくないのだけど、並びかけてきた馬を決して抜かせない力強い勝負根性が光っている。そして混合戦となる独セントレジャー(G2)では、見るからに重い馬場を重戦車の如く突き進み、長丁場に力尽きた牡馬たちを蹴散らして4馬身差で圧勝した。

 そこで伝統のフランス長距離G1ロワイヤルオーク賞に挑戦するが、ここでは良いところなく7着に敗れ、連勝が途切れる。だがその後、日系アメリカ人馬主タナカさんの意向か、ロング・アイランド・ハンディキャプというアメリカの重賞(G2)に臨むことになった。しかもそのレース、直前の大雨で馬場状態が悪化したため急遽ダート戦に変更、距離短縮という、バリバリの重重欧州芝競馬をやってきたMoonlady陣営にとっては「無茶言うなよ!」とツッコミ入れたくなる条件で走らされることになったのだ。だがしかし、Moonladyは初めてのダート戦をものともしなかった。2頭並んで逃げる厳しい展開から4コーナー手前で抜け出し、そこからは後続を寄せ付けず、見事3馬身差でアメリカ馬を圧倒したのである。

 母方はナチ時代からのドイツ血統。1938年にニューマーケットのせりで落札されたMorning Breezeがドイツでの始祖となる。この落札者は「ネレイーデ物語4」で出てきた競馬好きナチ官僚のC.ヴェーバーだ。もっともその後フランスから連れてこられた馬たちとは違い正規に輸入されているので、戦後も没収されることなく、再建されたイザーラント牧場の基幹牝馬となっている。ここからエーレンホーフ牧場に分岐した牝系がMoonladyの祖母で1987年牝馬2冠馬のMajoritätを輩出。そこから2004年ウニオン馬でダービー2着のMalinas、2007年ディアナ馬Mistic Lipsへ続くなど、このラインはドイツの名牝系の一つとなっている。また今や欧州の一流種牡馬となったMonsunも、イザーラント牧場に残った牝系の出身だ。現在Moonladyが社台にいるのは、Monsunと同系ということで吉田さんが連れてきたのかもしれない。

 さてその息子エイシンフラッシュだが、2000mを2:05.3という随分スローなレースであったものの、終いよく伸び、且つブルーミングアレーとの競り合いを制す勝負根性もあって、今後まだ期待が持てそうだ。しかし上のクラスに行けば当然速い展開も経験することになるだろうし、そのとききっちり付いていかれるかどうかが鍵になるのだろう。
posted by 芝周志 at 02:34| Comment(6) | TrackBack(0) | 日本競馬

2009年12月08日

Royal Fantasyの仔ミッションモードをえこ贔屓します

 JCダート前日の土曜中山、スボリッチが珍しく関東に来るので彼を撮りに行こうかと思うものの、メインのステイヤーズSでは乗り馬はサンデーフサイチで勝ち負けにはちょっと心許ない。空もどんよりでメインの頃にはほぼ間違いなく振り出しそうな気配であり、もう面倒くさいから行くのやめようかと半ば決めかけていた。しかし何となくJRAのサイトで葉牡丹賞のメンバーを眺めていたら、1頭の馬の血統にぬぬぬ!と目が留まった。

 ミッションモード

 まず父Galileoというところに大抵の人は目が行くだろう。そりゃあ欧州の一流血統だ。しかもアーバンシーの仔でもあり私としても以前から贔屓の種牡馬である。だがそれ以上に母の名ですよ!Royal Fantasy!少々在り来たりな名前だから全然違う馬かもしれないと思って念のため調べてみたら、父Monsun。決定だ。2003年独セントレジャー馬、あのお転婆で愛くるしい瞳を持った栗毛の少女Royal Fantasyである。全く気づいていなかった。まさか吉田さんの所有馬になっていたとは。まさかあのあどけないやんちゃ娘の子供が日本で走ることになろうとは!しかもよく見ると人気の一角を担っている。欧州血統ゆえにスピード勝負に不安はあるが、幸いやや重で更に天気が崩れる傾向。これはメインなんかよりこっちのほうが重要だとばかりに競馬場へ直行。そしてミッションモードはスミヨンの鞭に応えて見事に馬群を裂き勝利。



royalfantasy2.jpgホント、好きだったんだよね、Royal Fantasy。なんといってもそのデビュー戦が印象的だった。最後の直線で突然外へ大きく膨れて騎手を振り落とし、前で競り合う牡馬たちを一気に抜き去ったのだ。それはまるで両手を広げ、満面の笑みで草原を駆けてくる少女のように。つか、こんな写真持ってる奴なかなかいないだろw

 しかしこんな性格だからしばらく未勝利から抜け出せず、ちぐはぐなレースを続ける。具体的には馬を落ち着かせるため馬群に入れてレースをさせていたのが裏目に出ていたようで、後方外目に控えるようになってから一気に素質を開花。そこから3連勝でセントレジャーを制したのである。

03stleger(Royal Fantasy).jpg


 4歳になっても現役を続けたRoyal Fantasyは結局未勝利に終わるものの、独仏の重賞戦線で好走し、ヴェルメイユ賞(仏G1)で2着に入ったのは十分誇りとしていい成績だ。一方春緒戦のゲーリンク賞(G2)ではパドックから本馬場へ向かう途中でまたしても騎手を振り落とし、競馬場から外周道路まで飛び出すという、相変わらずのお転婆振りを発揮している。パドックで写真を撮った後、本馬場へ入ってくる前に即効で彼女の単勝馬券を買ってコース際で入場を待っていた私は、いつまで経っても彼女が現れないことにえらく困惑したことをよく覚えている。その後にもどのレースだったか忘れたけど一度騎手を振り落としており、実にしょもない娘だった。それでも秘めた素質は一級だったし、そして何よりあのくりくりした無邪気な瞳が本当に可愛かった。

 そんな彼女が母になり、その仔ミッションモードが日本でオープンクラスに踏み込もうとしている。瞬発力勝負ではやや分が悪そうな感じがするが、ある程度長い距離で自力がものをいう勝負になれば、高いクラスも期待できそうだ。

 そんなわけで、今年の2歳馬ではミッションモードをとことんえこ贔屓して応援することにする。

 ところで上に写真を挙げたように、かつてネガフィルムで撮っていた競馬写真を、これを機にフィルムスキャナで取り込み始めた。ドイツで使ってたフィルムスキャナより、複合機のCANON MP980のほうがなんだか綺麗に読み込んでくれるので、現在サイトに上げてある古い写真の差し換えも含めてこつこつ作業しようかなと。にしても、NIKON F60にSIGMAの70-300mm, F4-5.6を付けて撮ってたときは1コマ/秒だったから、実際には押しっぱなしでなく自分のタイミングでシャッターを切っていたので、直線2、3枚の勝負とかだった。8コマ/秒でフィルム切れを気にすることなく撮り捲くっている今からは信じられない。よくやってたよな俺。
posted by 芝周志 at 02:56| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本競馬

2009年10月14日

盛岡競馬場はドイツの競馬場を思い出させてくれた

マイルチャンピオンシップ南部杯を撮りに行ってきました。レース写真はこっちからレース名をクリックして見てください。

http://09races.shibashuji.com/index.html

それでまあ、馬券については相変わらずと…。しかし単勝主義の私にとって、2倍を割ったらよほど思い入れがない限り賭けられないわけで、エスポワールシチーを切ったのは仕方ない。でもサクセスブロッケンがあそこまで千切られるとは思わなかった。エスポ時代の到来か、あるいは単に私の呪いが強すぎたのか。GI8勝目を阻むルドルフの呪いも、やはり9歳ブルーコンコルドといえども容赦なかったというわけで。

そんな競馬の中身はさて置いても(って本末転倒な…)、盛岡競馬場はとてもいい競馬場だった。久しぶりにドイツの競馬場に似た長閑な空気を感じさせてくれた。









東北新幹線で盛岡駅に着き、無料送迎バスに揺られること約30分。街から抜け長閑な景色へと運ばれていくときはどことなくバーデン競馬場のシャトルバスを思い出す。そして山道を登り始めると、グラーフェンベルクの森の中へと向かうデュッセルドルフ競馬場への景色が目に浮かび、パッと開けた正門前の広い駐車場とその後ろに浮かぶスタンドが目に飛び込んできた瞬間には、「おお〜!ここはハノーファーだ!」と心の中で叫んでしまった。スタンドは建てられて比較的新しい印象で、その点の小奇麗さはドイツの競馬場よりニューマーケットの方がイメージに合うかもしれない。もちろんあちらの方が垢抜けているけど、盛岡も地方競馬の泥臭さのようなものは殆ど感じられなかった。コース前の雰囲気はハノーファーを少し手狭にしたような感じで、あちらは低地だけど周りが木々でしっかり覆われていたので、同じく森に囲まれた盛岡は、左回りという点も含めて、ハノーファーが一番似ているかもしれない。山の上の森の中という意味ではデュッセルドルフもそうなのだけど、あそこはコースが三角形だし、コースの起伏もかなりあるので、オーバーラップするようなイメージはない。それよりは映像で見た印象どおりバーデンの方が近いかもしれないけど、やはりハノーファーかな。

1600m戦はかなり奥まったポケットから向正面へ向かって長い直線を進み、最後の直線は緩い登り坂になっているので、かなりフェアに自力勝負できるGIに相応しいいいコースだと思う。パドックはゴール板を過ぎて50mほどのスタンド側脇にあり、いちいちスタンド内を通り抜けずコースへ戻れるのは、撮影メインの自分にとっては非常にありがたい。馬券を買うにしてもスタンド内へすぐに入れるし、パドックとしてもすり鉢状の高低差が十分にあって非常に見やすい。更に埒のスタンド側がコース側より一段高くなっているので、間へプロカメラマンに入られても邪魔にならず、撮影する身としてはこれほど有難い条件はない。

バスか車でしか行かれない立地の悪さは、以前デュッセルドルフ競馬場が破産寸前にまで追い込まれたように、集客の面では難は大きいだろうと思う。しかしピクニック感覚の家族連れも多く、来てしまえばとても過ごしやすい爽やかな競馬場だ。ドイツの競馬場の空気を思い出す意味でも、せめて南部杯のときには是非また来たいと思う。それくらい気に入った盛岡競馬場。

posted by 芝周志 at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本競馬