2010年04月01日

ドイツ年度代表馬選考について日本人ファンが愚考してみる

 改めてBildのオンライン投票サイトに行ってみると、ここでの最終投票数と得票率が出てきた。

オンライン総投票数:3,608票
1. Night Magic 58%
2. Wiener Walzer 28%
3. Getaway 14%

 昨年の有馬記念の有効投票件数193,875票と比べると、実に悲しい関心度である。今のご時勢、Sport-Welt紙掲載の投票用紙を切り取って郵送した人など高が知れているだろうから、総投票数で約4,000票といったところではないだろうか。

 そこで、郵送投票数を全体の約1割の400票と仮定して、オンライン得票率と全体得票率の差からその内訳を試算してみた。

1. Night Magic 132票(33%)
2. Wiener Walzer 204票(51%)
3. Getaway 64票(16%)

 Wiener WalzerとNight Magicが引っくり返った(相変わらずGetawayが低いのは納得し難いが…)。もちろん400票は当てずっぽうの数字である。しかし投票用紙が掲載された20、21日の週末はドルトムントとマンハイムのローカルレースしかなく、Sport-Welt購入者自体が1,000人いるのかも怪しいくらいだ(ドイツではレープロにも成績が載ってるので、それで済ましてしまう人も多い)。となれば、この数字もそう外れてはいないだろう。

 年度代表馬の投票には、ファンだけでなく、厩舎関係者も実は少なくないと思われる。実際、私がドイツ滞在中、まだテレビ放映と電話投票でやってたとき、1等の香港旅行がどこかの厩舎の厩務員さんに当たっていた。今回のオンライン投票数はたった3,608票である。数百人の厩舎関係者が、アンチ・ヒルシュベルガー意識と賞品目当ての組織票で投じていたとしたら、2,000票程度の底上げはそれ程難しいものではないだろう。

 運営側としては、長年続けてきたことと同時に、数少ないファン参加機会となっているこの選考形式を容易に変えられない思いはあるだろう。しかし実際問題として、本当のコアな競馬ファンにとって興醒めの結果があまりに多過ぎる。これではむしろ逆効果だ。日本のように競馬ジャーナリストに任せてしまうのはなかなか無理な選択肢かもしれないが、紅白歌合戦のように観客票と審査員票の重みを分けて決める方法もありかもしれない。もちろんその際は審査員票をきっちり開示し、審査員の責任と公正を明確にすることが必要だ。

 ドイツ競馬界は2年前から組織改変に取り組み、今年は"German Racing"というプロジェクト・チームを立ち上げて、いろいろと運営改革を試みていくことになっている。もっとも今年の開催スケジュールとか見る限り、まるっきり迷走中という観が否めないのだが、ある意味大胆な行動が許される今だからこそ、来年の年度代表馬選びについても、今から思い切り見直しをしてみてもいいのではないかと思う。日本人の私が日本語で言ってても仕方ないのだけど、コアなドイツ人競馬ファンたちには建設的な意見を上げていってもらいたいものだ。その点ドイツの競馬界隈は世界が狭いので、ちょっとした声でも関係者の耳に届きやすい。実際私がデュッセルドルフ競馬場の理事と知り合って、あれこれ具申したことがあるくらいなのだから(まあ結局金が無いってことで私のアイデアはどれも通らなかったけど)。

 頑張ってくれ、ドイツの競馬ファンたち。
posted by 芝周志 at 01:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2010年03月31日

【速報】2009年ドイツ年度代表馬はNight Magic

 取り合えず速報です。

 オンラインと郵送ファン投票の結果、2009年ドイツ年度代表馬はNight Magicに決定しました。各候補馬の得票率は以下の通り。

1. Night Magic 55,5 %
2. Wiener Walzer 30,3 %
3. Getaway 14,2 %
(参照:Das Ergebnis der Wahl zum Galopper der Jahres

 真面目に選べよ、ドイツ人…。本当にこれでいいのかよ……。

 かつてシュッツ厩舎の馬が主要レースを独占していた頃は、アンチ・シュッツ票が集まって、Ransom O'WarやSoldier Hollowなど、「ちょっと違うだろお前」って馬が度々選出されていたけど、今回はまさにそれの再現で、アンチ・ヒルシュベルガー票がNight Magicに集まってしまったようだ。

 ホント、つくづくダメだよ、この選出制度……。
posted by 芝周志 at 02:14| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2010年03月30日

ドイツ芝シーズン開幕

 帰国前、賭け口座に残金を残してきたのでライヴ視聴可能なはずのPferdewetten.deが昨晩ストリーミング出来ず、私にとって前途多難なシーズン開幕となってしまった今期ドイツ競馬。ただ昨日のトロット競馬のビデオが上がっているのにデュッセルドルフがまだなので、単に昨日Pferdewetten.deがストリーミングに失敗しただけかもしれない。レパーズタウンのレースは見られたんだし。来週末はお願いだから昨年までのように見せてくれ。

 ただ幸いRaceBet.comではビデオが上がっているので(こっちにも口座を持っているが、ライブ視聴には14日間に20ユーロ以上賭けをしていないといけない。因みに私の残金は20.40ユーロ…)、一応昨日のレースは先ほどチェックできた。

3月28日デュッセルドルフ
3歳賞(L)- 1500m

 人気は2歳戦線で実績のあったAslanaやKite Hunterを押さえてウルマン男爵の1勝馬Promised Wingsに集まったが、冬シーズンに独仏のダートを転戦しコンディションの有利があったVianelloが、まだ冬残りの湿った重い馬場を軽快に逃げ、Aslanaに5馬身差をつけて勝利。この時期は古馬戦も含め、芝の休み明け有力馬がダートで走りこんでいた馬に負けるのはよくあり、このレースもそれにまんまと嵌った感じだ。

 もっともVianelloはヴィンターファヴォリート賞3着のKite Hunterと同じシュタインベルガー氏の所有馬で、ラビットとして出したつもりもあったと思われる。実際Kite Hunterも2番手につけてのだが、厩舎が違うせいもあってか鞍上ゲリッツはマイペースで飛ばし、道中5、6馬身差をつけてしまった。Kite Hunterは直線に入ると付いていかれなくなりブービーの5着。人気のPromised Wingsは終始おっつけ通しで見せ場なく最下位。まだ全然馬が仕上がってなかったのだろう。人気ではAslanaだけが3番手から直線で一瞬見せ場を作ったが、Vianelloを捕らるには及ばず、坂を登った辺りで脚があがってしまった。ただこの一叩きは次走に繋がるんじゃないだろうか。

 このレースは、以前4月中旬にやっていた時はメール・ミュルヘンス・レネン(独2000ギニー)のトライアルとして注目されていて、Vianelloの馬主シュタイゲンベルガーは日本でもお馴染みのPlatiniで過去にも勝っている。しかし一昨年にこの時期に移行してからは質落ちが否めない。2着のAslanaには少し注目したいが、メール・ミュルヘンスの真打は4月25日ドクター・ブッシュ・メモリアル(G3)を待つことになるだろう。

<その他の話題>
◆ドイツ年度代表馬
 まだ発表がありません。もうしばらくお待ちください。

◆インド4冠馬Jacqueline
 BUNNYさんとこの孫引きで恐縮ですが、2月12日の記事で紹介したインド4冠馬Jacquelineが、なんと引退しちゃってました。絶頂期に引退というのはよくあることですが、国際レースにもチャレンジしてほしかったなと。

◆Twitter
 ドバイのときは結構大勢で盛り上がって楽しかったのだけど、昨晩アイルランドのギニートライアルをストリーミングで見てたのはドイツのサイトに繋げる自分だけだったようで、ドイツのレースも見られるようになったとしても、昨晩のような実況めいたことを毎週末するのは、さすがにちときついかなと。気紛れ参加にてご容赦くださいませフォロアーの皆様m(_ _)m
posted by 芝周志 at 00:15| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2010年03月18日

2009年ドイツ年度代表馬選考が始まりましたよ。

☆Twitterを始めたので、記事をアップしたら今後そちらで告知します。→ http://twitter.com/shibashuji

 ドイツの競馬統括組織Direktoriumからさっきメルマガが届いた(年に数回しか配信されないんだけど)。今更ながら前年の年度代表馬選考イベントの告知です。

 芝シーズン開幕間近のイベントには、これで新たなシーズンをwktkさせようという魂胆が見え隠れしているのだけど、でもやっぱり怠慢だと思うんだよな。しっかりしてほしいぜ。

 投票方法はここ2年間と同じく、今週末の競馬紙Sport-Weltに掲載される投票用紙を使って郵送と、大衆紙Bildのサイトからのオンライン投票。郵送は23日までに投函、オンラインは22日までに投票。

 例によって候補は3頭に絞られており、2月2日の記事「恒例の勝手に2009年ドイツ競馬年度代表馬」で予想したとおりとなった。

 Getaway
 Night Magic
 Wiener Walzer


 過去には予想を思い切り裏切られることが多々あったけど、今回はこの3頭以外はありえないでしょ。詳しくは上にリンクした記事を読んでください。

 オンラインで投票したい人は以下からBildのサイトへどうぞ。

http://www.bild.de/BILD/sport/mehr-sport/2010/03/15/galopper-des-jahres/waehlen-jetzt-abstimmen.html

 各候補馬のプロモーションビデオがあるので、それだけ見にいくのもよいかもです。

 3つビデオが並んだ下に、以下のような投票欄があります。

09gdjwahl.jpg

 各馬名右側の四角いチェックボックスにチェックを入れ、"ABSTIMMEN"というのをクリック。すると認証用のランダム文字が表示されるので、それを入力し実行すると、投票が完了します。そして何人目の投票かが現れたあと、以下のように現在の得票率が表示されます。

09gdjstimmen.jpg

 って、Wiener Walzerかよ!

 う〜ん、内容から考えたらGetawayの方が妥当だろうに、なぜNight Magicにすら負けてる…。

 投票者の中から抽選で年末香港競馬ツアーか、ハンブルク、ミュンヘン、ベルリン(ホッペガルテン)、バーデンバーデン、バート・ドーベランからドイツ国内1箇所ご招待、その他景品が当たります。日本からでも有効かは知りません。

 発表がいつかはメルマガにもBildのサイトにも書いてないけど、翌週末くらいには判明するんじゃないでしょうか。そのときにはまた報告します。

 というわけで、3月28日にデュッセルドルフで芝シーズン開幕。2000ギニーを見据えた3歳準重賞もあり、ぼちぼち真面目にフォロー開始しないとですね。
posted by 芝周志 at 20:23| Comment(2) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2010年02月02日

恒例の勝手に2009年ドイツ競馬年度代表馬

 どうも皆さん、無沙汰いたしております。なんかあっという間に2月になっちゃって今更ですが、今年もどうぞよろしくです。

 実は本家ブログであるこちらをよそに、今年に入ってからはてなダイアリーを使って、本やアニメ等の感想ブログを始めてたりしてます。
 周志の読み跡・視聴跡
 アニメに関しては、今期放映中でレビューしてるのは「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」だけなんですが、この作品、いいんですよ。かなり嵌ってます。「世界観がよく分からない」「展開がまるで読めない」ということで一部ネット界隈では不満の声も燻り始めてはいるのですが、このアニメはジグソーパズルのピースを埋めていくように見ていくのがよし。多分全体像が見えてくるのはようやく4分の3を過ぎたくらいなんじゃないかなと。
 レビューはしてませんが、も一つ、「はなまる幼稚園」。ひーちゃんが可愛すぎます…(*´Д`*) ひーちゃんみたいな娘が欲しいです。ひーちゃんのパパになりたいです。誰か私のためにひーちゃん産んで下さい。

 さて本題。

 例年以上に途中から尻すぼみでまともにフォローできてなかったドイツ競馬ですが、一応振り返りの意味で例年通り勝手に年度代表馬を部門別に決めてしまいたいと思います。例年通りのマイルールで、選考対象馬は「ドイツ調教馬」及び「ドイツで出走した外国調教馬」です。参考として馬名横に年度GAG、Thoroughbred Pedigree Queryの5代血統表へのリンクを付けておきます。

 ではまず各部門賞から。

最優秀2歳牡馬: Zazou(94.5kg)

 いきなりどの馬にしようか悩ましい部門。09年のドイツ2歳馬にはあまり飛び抜けた存在がなく、またヴィンターファヴォリート賞(Gr.3、ケルン、1600m))がオープン級の勝者決定戦にならなかったため、能力比較がし辛くなってしまった。Zazouは8月16日BBAGオークション・レネン(ケルン、1300m)1着、9月4日ツークンフツレネン(Gr.3、バーデンバーデン、1400m)4着、10月23日フェルディナント・ライステン・メモリアル(BBAGオークション・レネン)(バーデンバーデン、1400m)1着の後、11月14日サンクルー・クリテリアム(仏Gr.1、2000m)に挑戦し、最後は力尽きたもののゴドルフィンのPassion For Gold相手に唯一見せ場を演じた3着で、シーズン通して高いレベルで戦ったことを評価したい。ヴィンターファヴォリート賞馬Glad Tiger(94kg)は未勝利3着から2戦目での首差勝利で、その年を代表するという意味ではインパクトに欠ける。もっとも兄Glad Lionが03年の同レース勝馬、Glad Pantherが09年3歳春季賞(Gr.3)を勝っており、血統的な潜在力は高いので、今年も注目すべき1頭ではある。また世代最高GAGを付けているのはヘルツォーク・フォン・ラティボア・レネン(Gr.3、クレーフェルト、1700m)を勝ったNeatico(95kg)で、このレースでの強い勝ち方が評価されたもの。シーズン最後に現れた大物といった感じだ。年内デビューのダービー候補としては、この馬が一番の注目株になる。

最優秀2歳牝馬: Neon Light(94kg)

 こちらもオープン級の勝者決定戦になるレースがなかったので能力比較はし辛いのだが、レースレベルの高さで素直にヴィンターケーニギン賞(Gr.3、バーデンバーデン、1600m)を勝ったNeon Lightでいいだろう。このレースでは名牝Elle Danzigの仔でデビュー戦を9馬身差圧勝したElle Shadow(93kg)が1.8倍の人気を集めていたが、同じくデビュー戦を8馬身差圧勝で臨んだNeon LightがElle Shadowの追撃を4分の3馬身差に押さえ込んで勝利。3着はその7馬身後ろで、この2頭は明らかに抜けた存在だ。

最優秀3歳牡馬: Wiener Walzer(100kg)

 ダービー(Gr.1)とラインラントポカール(Gr.1)、ウニオン・レネン(Gr.2)を勝ち、GAG100kgのこの馬以外選考の余地なし。ただバーデン大賞(Gr.1)では事実上Getawayのラビット扱いで、本当に強い馬という印象が残らなかったのも確か。だがそれにしてもその他の馬が不甲斐なさ過ぎた。ダービー前には一押ししていたSaphir(95kg)はその後いいとこなしで、ダービー2着のSordino(96kg)もバーデン大賞を目指していたが調整つかずそのまま年内休養。ダービーで1番人気になっていたSuestado(93kg)もその後未出走のまま、なんとウルマン男爵から騎手のミナリクが買い取ってたよ!ヨーロッパは調教師だろうが騎手だろうが自分で馬を持って走らせられるのだからスゴイよ。

最優秀3歳牝馬: Night Magic(96.5kg)

 春先はまだ馬が完成していなかったようだが、7月3日ハンブルクのユングハインリヒ・ガーベルシュタープラー大賞(Gr.3)で本格化し、ディアナ賞(Gr.1)で力の違いを見せ付けての逃げ切り圧勝。昨年同レースを鼻差2着し10月のオペラ賞を制したLady Marianも同じく夏のハンブルクから頭角を現した。ディアナ開催が6月第1週から8月第1週にずれたことで、遅咲きの馬が見事に恩恵を受ける傾向がはっきり顕れている。ちょうど前回、前々回のエントリーで取り上げたMoonladyやRoyal Fantasyも夏から本格化してセントレジャー等を制しており、もし当時もディアナが8月開催だったらあっさり勝っていたのかもしれない。Night Magicはその後オペラ賞へと向かうが、ここでは明らかに能力以下の走りで最下位。だがレディア・テシオ賞(伊Gr.1)を頭差2着の接戦を演じて汚名挽回し、ディアナ馬の面目を保った。因みにこの馬はミュンヘンのフィッゲ厩舎所属で、ノルトラインヴェストファーレン州に有力厩舎が集まるドイツではちょっとした快挙であった。主戦のハンガリー人騎手ケレケシュは結構上手いのだけど、長年フィッゲ厩舎専属でなかなかビッグタイトルに手が届かなかっただけに、Night Magicの活躍は厩舎共々格別嬉しい成果だったに違いない。
 ところでシュタインメッツ厩舎のNight of Magic(92.5kg)もイタリア・オークス(伊Gr.2)を勝ち、セントレジャー(Gr.3)でも2着になる活躍を見せた。レディア・テシオ賞では両馬とも出走しており、直線で競り合うNight Magicをイタリアの実況が"Night of Magic"と連呼するなかなか紛らわしい珍現象が起こっていた。

最優秀古牡馬: Getaway(101kg)

 ドイツ賞(Gr.1)、バーデン大勝(Gr.1)勝利、及びラインラントポカール(Gr.1)を僚馬Wiener Walzerに短頭差2着のGetaway以外の選択肢はない。前年まではフランスのファーブル厩舎で英仏Gr.1戦線走り、また一昨年の凱旋門賞でも4着に入っていた実力馬だから、ドイツに転厩すれば一つ抜けた存在となるのは至極当然ではある。しかし他の古馬陣にGetawayを脅かす存在が現れなかったため、ドイツ古馬路線はどうにも盛り上がらなかった観は否めない。まあ一番の戦犯はなんといっても前年ダービー馬Kamsin(97.5kg)なのだけど。春緒戦のゲーリンク賞(Gr.2)こそ勝利するものの、内容は実に危なっかしい辛勝。そしてその後は煮え切らないレースが続き、結局1勝のみ。前年Gr.1戦3勝馬(繰り上がり1位含む)としては期待外れも甚だしかった。前年度代表馬のIt's Ginoが故障から戦線に戻れず引退してしまったのも大きかった。春3連勝でGetawayを押せてハンザ賞(Gr.2)を勝ったFlamingo Fantasy(98kg)には上がり馬としての期待が高まったが、いざGr.1戦線に突入するとシュレンダーハーン陣営に水を空けられてしまった。
 ドイツ国内戦線とは別に、Quijano(99.5kg)は海外Gr.1転戦に明け暮れ、それなりに好成績は残したものの、結局勝てたのはミラノ大賞(伊Gr.1)だけだったのは残念。

最優秀古牝馬: Salve Germania(94.5kg)

 07年、08年はFair Breezeがよく頑張ってくれてたお陰で、この部門もそれなりに見るべきところがあったのだけど、09年はまったくもって寂しい限り。該当馬なしでもよかったのだけど、Salve Germaniaが8月29日サラトガのバリストン・スパH(米Gr.2)であっと驚く後方一機の大金星を挙げていたのでご褒美に。

最優秀スプリンター: War Artist(97.5kg)

 ドイツ国内スプリント王決定戦ゴールデネ・パイチェ(Gr.2)を掻っ攫っていった英国馬。07年に南アフリカでGr.1を勝ってる馬である。ここをステップにアベイユ・ド・ロンシャン(仏Gr.1)で3着に入ったり、その前にもジュライC(英Gr.1)で3着しているなど、英仏スプリントGr.1の常連であるこの馬に、Smooth Operator(96kg)やContat(93.5kg)、Etoile Nocturne(92.5kg)あたりが敵うはずもなく、ここは大人しく外国馬に部門賞を与えましょう。
 但し今年はあのハンガリーの弾丸Overdoseがホッペガルテンの厩舎に調教師共々移籍してきたので、故障からしっかり立ち直っていれば、ドイツのスプリント路線を賑やかにしてくれるに違いない。

最優秀マイラー: Irian(98kg)

 ドクター・ブッシュ・メモリアル(Gr.3)からメール・ミュルヘンス・レネン(Gr.2)という3歳マイラーの王道を制し、ジャン・パレ賞(仏Gr.1)では前が開かない不利を被りながら半馬身差の3着と好走する。さすがにジャックルマロワ(仏Gr.1)のGoldikovaには全く歯が立たなかったが、4着ならまずまずの成績だろう。ただこの後オファーが入り、今年から香港で走ることになった。順調に行けば安田記念にも来るかもしれない。
 その他古馬陣は低レベルでの世代交代が出来ず、エッティンゲン・レネン(Gr.2)とオイローパ・マイレ(Gr.2)は英国馬Premio Loco(98kg)に掻っ攫われる始末。Irianがいないとなると、今年のマイル戦線もお寒い状態になりそうだ。

最優秀中距離馬: Pressing(98.5kg)

 2007年のSoldier Hollow引退以降、この路線も後継馬が現れないなぁ…。シーズン明け当初はLiang Kay(96kg)に大方の期待が集まっていたのだけれど、肝心なところで中途半端な走りになり、結局取った重賞はようやく10月のバーデン・ヴュルテンベルク・トロフィー(Gr.3)のみ。Wiesenpfad(95.5kg)も4年連続で重賞を勝ったのは立派だが、結局Gr.3馬止まりで終わってしまった。でも種牡馬の口があったのはよかった。というわけで、国内唯一のGr.1バイエルン・ツフトレネンをさっくり奪っていった英国馬Pressingに当部門賞。今年は3歳でいい馬出てきてくれないかなぁ…。

最優秀2400m馬: Getaway(101kg)

 これはGetawayかWiener Walzerのどちらかになるわけだが、バーデン大賞で古馬の貫禄を見せ付けた分Getaway。

最優秀長距離馬: Flamingo Fantasy(98kg)

 07年、08年のLe Miracleのように国外長距離Gr.1に挑戦するような馬がいなかったとなれば、国内の2つの長距離重賞ベティー・バークレイ・レネン(Gr.3)かドイツ・セントレジャー(Gr.3)を勝った馬から選択する他なく、となれば途中から2400m路線にシフトしたものの長距離準重賞ジルベルネス・バントとベティー・バークレイを連勝したFlamingo Fantasyを選ぶのが順当かなと。

 而して年度代表馬は…。

 恐らく芝シーズンが始まる頃にのそのそと行われる公式の年度代表馬選考に倣い、まず3頭ノミネートするならば、

 Getaway
 Night Magic
 Wiener Walzer

 そしてここから選ぶと、バーデン大賞の貫禄で

 2009年度代表馬: Getaway

 しかし終わってみれば、古馬、3歳牡馬、マイルでシュレンダーハーン/ウルマン陣営が主要レースを独占で、なんとも面白みに欠ける1年だった。まあ長年牧場を支えてきたカリンさんが亡くなったこともあり、弔いの意味でも陣営は頑張ったのだろう。加えてSea the StarやStacelitaという同牧場伝統の牝系に連なる馬が欧州レベルで活躍し、2009年はまさにシュレンダーハーン牧場の年だったといっていい。

 しかし今年はもっと群雄割拠するようなレースシーンを見てみたいものだ。
 
posted by 芝周志 at 02:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2009年09月07日

やっと正しい選択デフリース ─ バーデン大賞

競馬脳がすっかり70年以上前に飛んでるところで、本日ばかりは現代に引き戻しておかないとということで、バーデン大賞。

9月6日バーデンバーデン

バーデン大賞(G1)


ファロン騎乗のYoumzainとデットーリ騎乗のEastern Anthemという何とも豪華な遠征組に対し、ドイツ側も新旧ダービー馬と古馬G1ホースで迎え撃つという、少頭数ながらも実に見応えあるメンバーが揃った伝統の一戦(ダービー2着馬Sordinoは当日出走取消)。レースは今年のダービー馬Wiener Walzerが淀みないペースで引っ張り、その直後に前年ダービー馬Kamsin。その後ろをGetaway、Youmzain、Adelar、Eastern Anthemが1列に連なる展開。3、4コーナーで各馬仕掛けにかかり、直線に入ると皆馬場の良い外へと雪崩れ込むと、他馬の騎手たちが懸命に鞭を振るう中、デフリースだけが静かに手綱を持ったままGetawayが先頭に躍り出、そこから鞭を入れると外埒へ向かって斜行しながらも一気に後続を引き離して勝利。

3馬身差の2着に来たEastern Anthemは本場場入場で、画質の悪いネット中継でも伝わってくる漲るような好気配を見せており、やはりラインラントポカールよりは伸びてきたのだけど、Getawayの充実度には敵わなかった。Youmzainは太めに見えたけど、しっかり3着に入っている辺りこの馬らしい。Wiener Walzerは結局いいペースメーカー役になってしまった感じだが、それでも差のない4着に粘っているのだから大したものだ。

Getawayの鞍上デフリースは、今年からシュレンダーハーン/ウルマン陣営の主戦騎手に抜擢されながら、肝心なときに結果を出せず、かなり苦しい立場にあった。特に陣営の馬が絶好調の活躍をしているにも拘らず、ダービーでは迷った末に選んだSuestadoが外れだったり、カタールのアラブ競馬との契約でドイツ賞(G1)でのGetawayに乗れなかったりと、悉くついていなかった。それゆえ今回、ポカールで接戦の末Getawayを破ったWiener Walzerではなく、改めて前者を選んだのは、彼なりの意地と拘りだったと思う。それが漸く正しい選択として結果となり、レース後スタンド前に戻ってきたときは、かつてないほどに喜びを爆発させていた。しかも実況のチャップマンが彼の事情を汲んで、取り分け彼の勝利を祝福していたので、彼の喜ぶ光景が益々輝かしく見えた。

オランダでリーディングを重ね、主戦場をドイツに移して9年目のイケメン、ナイスミドルな40歳。心からおめでとう!
posted by 芝周志 at 00:38| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2009年07月07日

4度目の挑戦で初制覇を果たしたWiener Walzerのダービー

普段一日PV数10前後の路地裏ブログなのにいきなり100件超えしてビビりましたよ殿下(ご挨拶

それにしてもかすりもしなかったな私の予想…orz ヒネッケ兄弟の兄ハネスが一応本命当てて、穴予想のToughness Danonが3着に突っ込んだからワイドくらい取ってるかもしれん。

ということで、Wiener Walzerが4度目の挑戦で遂にダービー制覇。初挑戦が2000ギニー2着の看板で挑んだ1936年で、名牝Nereideの圧勝劇の前に6着と敗退。2度目の挑戦となった1960年がこれまでで最も優秀で、Alarichに短首+1馬身差の3着。2歳時には無敗でヴィンターファヴォリート賞を勝ち、3歳春には2000ギニーを制したクラシックホースでもある。因みにこのときはシュレンダーハーンではなく、ツォッペンブロイヒ牧場所属。3度目の1987年はどこをステップにしてきたのかもよく分からず、オーナーもこの一度切しかダービーに出走させたことがない小馬主だし、単勝129.6倍という全くのアウトサイダーのまま17着。そして63年振りにシュレンダーハーン所属に戻った今年、念願のタイトル獲得となったわけだ。

まあドイツは母親頭文字ルールがあるから、20~30年毎に甦る馬はよくいるわけです。本当は私の本命Saphirが勝ったら、まはるさんも触れていた20世紀初頭のドイツ馬産を支えた種牡馬Saphirについて少し調べ直そうかとも思っていたのだけど(断片として記憶していて頭の中で整理されてない)、Gr.I取るときまで棚上げしておきます。つか、Thoroughbred Horse Pedigree Queryでは10頭目だよ今年のSaphir

さて、今年のレースタイムは2:29,56で、10年振りに2分30秒を切った。馬場荒れデフォルトのダービーとしては明らかに速い。スタート後のスタンド前は最低人気のDouble Handfulと同じく人気薄のOrdenstreuerが競り合い、Oriental Lionのペースメーカー役の可能性もあったGlad Pantherも好スタートで前に並んでいたから、1コーナーを回るまでは結構速いラップだったはずだ。しかし向正面に入る前にOrdenstreuerがきっちり2番手に控えたことで、ペースがかなり落ち着いた。Wiener Walzerは4~5番手で、その外にOriental Lion。SuestadoはWiener Walzerのすぐ外目後ろで、位置取りとしては申し分なかったはず。EliotはSuestadoの更に斜め後ろ外。Toughness Danonは馬群中央に位置し、Saphir、Sordino、Quo Dubaiが並んで最後方。Boliviaがその1馬身前という向正面の展開だった。

3コーナーを回った辺りで徐々に動き出すが、Suestadoは手応え悪く最終コーナーでは完全に馬群に飲まれてしまう。Wiener Walzerは3、4番手にいたHansomが外へ膨れた間にサッと入り込み、粘るOrdenstreuerを交わして先頭へ躍り出る。そして後方から追い込んできたSordino、Toughness Danon、Eliotを押さえ込んでゴール。

総じてWiener Walzerのレースには無駄がなく、ヨハンソンの腕が光った内容だったと思う。向正面で思いのほか流れが落ち着いたことで、末を活かせたのも良かったのだろう。その点Suestadoにも無理はなかったのだが、3戦目での重賞初挑戦がダービーでは、なんやかんやで馬に与えるプレッシャーが大きかったのかもしれない。2着に入ったSordinoは大外一気。前走ブレーメンのトライアルでは超スローペースで脚を余して3着に敗れていたのだが、元々期待度の高い馬だったし、こういったある程度速い流れなら突っ込んできてもおかしくなかったのだ。中1週もマイナス評価されてしまう要因だったのだけど、結局あのレースでは殆ど力を使ってなかったのかもしれない。3着Toughness Danonの堅実さは少々神憑ってきた。バーデン大賞あたりでちゃっかり2着になり、「世界最強の未勝利馬」という、かつてEgertonが掲げた輝かしい称号を引き継ぐのではなかろうかw

Saphirは、SordinoやQuo Dubai(5着)と同じようなところにいながら、逃げ粘ったOrdenstreuer(6着)にも届かず7着。この順位はこの馬なりに伸びていた証なのだけど、バヴァリアン・クラシックで見せた鉈の切れ味では届かなかったというか、あの時競り合ったPeligrosoが中1週のウニオンで完全に力尽きていたように、Saphirにも結構あのレースは応えていて疲労が残っていたのかもしれない。とりあえず無理させず、古馬になってから本格化させる育て方の方がいいのかもしれない。

尚、Wiener Walzerの今後の予定は今のところ未定。ラインラントポカールかバーデン大賞が一応視野にあるようだが、凱旋門賞への追加登録という話はまだ出ていないようだ。

posted by 芝周志 at 00:27| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2009年07月05日

ドイツ・ダービーです

IDEE 140. Deutsches Derby (Gr.I)

1991年以来スポンサーとなっていたBMWが、遂に降りてしまった第140回ドイツ・ダービー。今年のスポンサーは昨年までハンザ賞に出資していたコーヒーメーカーのIDEEが買って出たのだが、この会社のオーナーはハンブルク競馬場理事のダールボーフェン氏(Albert Darboven)だから、内輪でなんとかしてるわけで、世界的な不況も相まって、ドイツ競馬界の財政事情は相変わらず火の車状態です。

そうはいっても、やはりダービー。他の如何なるGr.Iよりもワクワクするわけで、昨年暮れに独日の競馬カレンダーを交換して以来ご無沙汰していたドイツ人の競馬友だちヒネッケ兄弟から、居ても立ってもいられないので思わずお前にメール書いちゃったぜって感じで便りが届いた。因みに兄のハネスは恐らくドイツ人で唯一人の『優駿』購読者という日本競馬ヲタで(日本語は初級レベルしか出来ないけど…)、府中にも5度来ており、ディープインパクトが凱旋門賞に出走したロンシャンではディープの帽子とTシャツを着ていたものだから、しっかり写真を撮られて『優駿』に載ってしまったというネタになる男です(バックナンバー持ってる方、そう、そいつですよ!)。弟マティアスの方は特に日本競馬通ではないが、馬券師としてはこっちの方が濃くて、涼しい顔して時々でかいの当てている。

そんなヒネッケ兄弟のダービー予想を(勝手に)お披露目しちゃおう。

兄ハネスの本命はWiener Walzerだ。ウニオンの走りを非常に気に入り、200m延長も問題なしと見込んでいる。それゆえ主戦のデフリースがSuestado騎乗を選んでしまったのは気に入らない様子。対抗にはまず牝馬のBoliviaを挙げてきた。5月31日のディアナ・トライアル(Gr.II)直後、Miss Europaで勝ったシュタルケが「このレースの1、2着馬はダービーに追加登録すべきだ。」と言ったそうで、ヒクスト厩舎4頭出しの中でも主戦スボリッチが早々に選んだBoliviaは外せないそうだ。今年の3歳牝馬はレベルが高いらしい。もっともそのMiss Europaが、金曜日のユングライヒ・ガーベルシュタープラー大賞(Gr.III)で2着に敗れてしまったので、その辺どう評価すべきかは考えどころか。バヴァリアン・クラシック(Gr.III)勝者のSaphirも対抗馬として挙げている。ミュンヘンの2000m戦は、ゴール地点から始まるのではないかと思われるくらいスタミナへのポテンシャルが感じられたそうで、やはりシールゲン厩舎主戦シュタルケが早々に選んだこともあり、この馬は有力だと。よって兄ハネスの予想は、一応三連単全組み合わせ有りで(つまり日本なら三連複)以下の通り。

  • Wiener Walzer
  • Bolivia
  • Saphir

尚、大穴一発狙うならToughness Danonだそうだ。

弟マティアスの方は兄貴のように整理して書いてこなかったので、どれが本命なのかははっきり分からないのだが、やたら気になっているのがEliotだそうだ。まだ未勝利でウニオンでもまだまだ青いところを見せていたが、それでも上位に僅差の5着に突っ込んできたポテンシャルには見るべきものがあったと。もっとも本格化するのは恐らく古馬になってからで、ダービーはまだ早いとも見ている。1番人気になるSuestadoはデビュー戦の勝利からして非常に強烈で、やはり馬券からは外せないとの見解(兄はバッサリ切ってたが)。あとは兄同様Boliviaが気になるそうだ。よって弟マティアスの予想は、一応以下の3頭ということでいいだろう。

  • Suestado
  • Bolivia
  • Eliot

加えて大穴候補に兄同様Toughness DanonとFrantic Stormを馬券に絡めておきたいとのこと。

因みに私は今年のトライアルの中でバヴァリアン・クラシックを高く評価しているので、本命はSaphir。距離伸びて間違いなくプラスだし、ある程度速い流れを経験済みなのもいい。今年のハンブルク開催は珍しく好天続きで馬場もいつもほど傷んでいたい。それゆえ例年より早い流れが予想されるので、スピードとスタミナをきっちり備えた馬が最後に力を発揮できると考える。そういう意味ではウニオン2着のOriental Lionにも高いポテンシャルがあり、前回のように不利を被らなければかなり怖い存在だ。ただヒネッケ兄弟によると、この馬は兄に似てかなり気性的に扱い辛そうなところがあり、レースをうまく運べないのもその辺に難しさがあるそうだ。Suestadoはやはり外せないところだろう。ハノーファーのレースは明らかに格が違っていた。ただ同時に相手が皆明らかに格下だったともいえる。そこのところが気になって巷ほど高くは評価できないのだ。ウニオン馬Wiener Walzerには、やはり距離不安を感じる。加えてまだ未熟な面も見せていたので、多頭数のダービーで最後まで上手くレースを運べるかは疑問。ヒネッケ兄弟揃って押しているBoiviaは確かに気になるが、上述のとおりこの馬に前走接戦で勝ったMiss Europaが一昨日負けてるので、馬券対象からは外しておきたい(って本当に馬券を買うわけじゃないけど)。ということで、私の最終予想。

  • Saphir
  • Suestado
  • Oriental Lion

良馬場で予想以上に早い流れとなり、前崩れの展開となった場合、Panyuあたりが3着以内に突っ込んでくる可能性はあり。ただ逃げそうなのがEgonとFrantic Stormで、両馬ともヒクスト厩舎だから、逃げ競うことはないだろう。淀みない流れにはなっても暴走気味に速くなることはないと思う。

スタートは17時45分(日本時間6日0時45分)。ハンブルク競馬場にいるヒネッケ兄弟を羨ましく思いつつ、私もPC画面でライブ観戦、夜更かし決定です。

posted by 芝周志 at 03:36| Comment(2) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2009年06月25日

ドイツダービー出走馬レイティング

中1週となるダービー最終便swb-ダービートライアル(準重賞、ブレーメン)は、このレースを6週間後のディアナ賞への一叩きに利用した唯一の牝馬、しかも休み明けのSerienhoeheが牡馬陣を一蹴して勝利。これまた伝統のSライン継承馬で、本番でも人気の一角を担うことになるだろう。もっともかなりスローペースで上がり勝負となったレースゆえに、SerienhoeheについたGAGはたったの89kgで、90kgに届かない低評価。しかもそのせいで敗れた牡馬たちのレイティングはかなり低く抑えられてしまい、ダントツの1番人気ながら追い込み及ばず3着に終わったSordinoは僅かGAG82kgしかもらえなかった。レース前はダービー本番の秘密兵器と囁かれていたにも拘らず、結局スボリッチ(今年はヒクスト厩舎所属)は追加登録された牝馬Bolivia(ディアナ・トライアル2着)に騎乗することを早々と決めてしまった。

さてこのように一通りトライアルが終了したことで、ダービー登録馬のレイティング、即ちレースでの馬番が以下の通り発表された。

140. IDEE Deutsches Derby (7月5日ハンブルク)

馬番

馬名

GAG

1

Wiener Walzer

95.0

2

Saphir

95.0

3

Oriantal Lion

93.5

4

Panyu

93.5

5

Egon

93.5

6

Hansom

93.0

7

Bolivia

92.5

8

Eliot

92.5

9

Quo Dubai

92.0

10

Glad Panther

91.5

11

Suestado

91.0

12

Frantic Storm

86.0

13

Toughness Danon

85.5

14

Sordino

82.0

15

Marlow

82.0

16

Ordenstreuer

81.5

17

Double Handful

80.0

ハノーファーのトライアル勝者でRacebets.comの前売りでは1番人気に支持されているSuestadoが11番と、かなり大きな番号を与えられているが、この辺二つの重賞に偏重した評価という感は否めない。確かに相手がかなり手薄だったというのはあるが、バヴァリアン・クラシック4着のQuo Dubaiあたりよりは上でもよかった気はする。多分そのせいもあるだろう、陣営主戦騎手のデフリースがまだ騎乗馬を決定できずにいる。そりゃあもう1頭はポールポジションなわけだし、通常だったら何も考えずWiener Walzerに乗るはずなのだが、2年前に主戦だったヘリアーは距離不安が囁かれていた馬番1番のPersian Stormを選んで見事に敗れ、ハノーファーをステップに12番を付けてたAdlerflugが圧勝してしまったのだ。デフリースとしても折角のチャンスを馬番だけで見す見す逃したくはないだろう。かといってSuestadoを選んで負けたら、結構厳しい評価をされてしまうだろうし、なんとも苦しい胸の内が察せられる。尚、デフリースが選ばなかった方には、2年前にAdlerflugで勝ったヨハンソンが乗ることが決まっている。実は彼が一番おいしい立場なのかもしれない。

posted by 芝周志 at 01:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2009年06月18日

Sラインが関心を集めているようです

PV数が普段1日10前後という殆ど誰にも知られていないし関心ももたれていないニッチな当ブログに今週は毎日20PV程付いていてちょっぴりニマニマしている管理人の芝周志ですこんばんは。

要因は先日フランスのディアヌ賞(仏オークス)を勝ったスタセリータ(Stacelita)にあるようで、「ドイツ Sライン」乃至、これを含む検索キーワードで、先日書いた「ブエナビスタの祖−シュヴァルツゴルトとシュレンダーハーンのSライン」に皆さんいらっしゃるのである。この馬は生産も調教もフランスではあるが、血統は父母ともに思い切りドイツで、牝系はまさにシュレンダーハーン牧場のSラインである。ディアヌは2番手から直線持ったままで抜け出す4馬身差の楽勝で、無敗の5連勝。ブエナビスタとは全く違うタイプだが、日欧に登場した傑出した牝馬がともにSライン牝系ということで合田さんも取り上げていることから、Googleでの検索率がちょっと高まっている様子だ。

まあそれでもうちは所詮デイリー20PV程度なのだから、何の影響力も持ってはいないのだけど、一応記事ではシュヴァルツゴルトについて他では書かれていないことも書いたつもりだし、少しでも多くの人に読んでもらえれば嬉しい。特にナチによるブラウネス・バントの出走妨害については、多分これまで日本語では未出だろう。この事件の背景に関し更に掘り下げられるかは私の手元資料の範囲では難しいが、この時代のオッペンハイム家が置かれていた状況から憶測できるものがあるかもしれない。ドイツということで、独自牝系に拘った系統繁殖の馬産伝統とナチの優生政策を安易に結び付けたがる話はこれまでにもチラホラ見かけてはいるが、ユダヤ系のオッペンハイム家やエーレンホフ牧場の創設者オッペンハイマーの悲劇、ナチのフランス馬略奪とは距離を置き戦中もフランス馬産界との良好な関係維持に心砕いた伝統的ドイツ馬産界など(その一端は旧ブログのこの辺で触れた)、ドイツの馬産史をナチに対する視点と同一に語ることはできない(というか、そもそも優良血統を洗練させていくことはサラブレッドの定義そのもので、これがナチなら競馬好きは全員ハイル・ヒトラーと叫ぶべきだ)。

ところで話はまた別の方向へずれるが、スタセリータの母Soigneeはウルマン氏の生産馬であり、セリで高額で落札されてウルマンの手は離れたが、現役時代はドイツで走っていた。2歳時の秋バーデンで準重賞クロニムス・レネンを圧勝したときには、この世代の牝馬はこの馬中心に回るものと思われた。しかしその後フランスのPrix des Reservoirs(Gr.II)で2着と健闘したものの、3歳になってからはこれといった結果を残せず、残念ながら早熟イメージで終わってしまった。とはいえ、現役時代に少しは期待をかけた馬の仔がこうして活躍してくれると格別嬉しいものだ。因みにSoigneeのことを合田さんは上に紹介した記事で「ソワニエ」と書いているが、現役当時ドイツの実況チャップマン氏は「ソンニェー」と叫んでいたので、私の頭にもそれでインプットされていた。最初にスタセリータの母の名を見たのが合田さんの記事だったら、Soigneeのこととは気付かなかっただろう。で、ここは自分の庭なので、強引に私の耳に残っている「ソンニェー」でカタカナ書きさせてもらう。

今やフランスにいるソンニェーは、一応ドイツ伝統のSライン継承者ではあるが、血統図をよく見ると母はフランス生産馬になっており、祖母、曾祖母も英国生まれでドイツではない。ここで思い出されたのが80年代後半に『優駿』誌上に連載された山野浩一氏の連載「血統理念のルネッサンス」だ。そのPart II「ドイツ競馬の現在」(手元にあるのがコピーで、何年何月号かメモってませんでした。すみません。)に取り上げられているシュレンダーハーン牧場の記事では、落日の時にある牧場は繁殖牝馬を売らなければ経営を維持できない状況にあり、Sラインも多く流出されてしまったことが書かれている。当時晩年を迎えていた牧場長マイヤー・ツゥ・デューテ(Meyer zu Düte)にインタビューした山野氏は、馬産において重要な三つのGを彼から教えてもらった。金(Geld)、忍耐(Geduld)、幸運(Glück)である。山野氏はその中で忍耐(Geduld)こそがドイツらしさと捉え、それまでの牧場の成功に大きな役割を果たしてきたと解釈している。だがその当時の牧場の姿は、山野氏の目には最早その忍耐すら尽き果てる間近と映ったようで、この項の最後を「シュレンダーハンは一世紀の驚異的な輝きの後に今眠りに就こうとしている。」という言葉で締めている。だが幾多の苦難を乗り越えてきたシュレンダーハーン牧場とオッペンハイム家の「忍耐」は、当時の山野氏の見立てほど柔なものではなかった。この記事から間もない88年1月に、夫の早世後30年以上牧場オーナーを務めてきたガブリエレ・フォン・オッペンハイム(Gabrielle von Oppenheim)夫人が87歳で亡くなり、娘カリン・フォン・ウルマン(Karin von Ullmann)氏がその職務を引き継いだ。そしてカリンさんがウルマン名義で持っていた黄青の勝負服を息子ゲオルク(Georg von Ullmann)が引き継ぎ、母子で牧場再興に向け尽力したのである。ソンニェーの母Suivezはこの再興の時に当たって、流出されたSラインとしてゲオルクが取り戻したのであろう。牧場に残るSuivezの牝馬にはSuiviがおり、その産駒が今ドイツダービー最有力として注目を浴びているSuestadoである。即ちSラインには今年更にまた大きなところを取れそうな馬が控えているのだ。しかもバヴァリアン・クラシックを勝ったダービー候補SaphirもSラインである。

何だかえらくシュレンダーハーンに肩入れした記事ばかり書いてしまっているが、普段ドイツ競馬を見ているときは特別シュレンダーハーン贔屓というわけではないんだよ(はてなのアイコンはヘニーホフ牧場だし・笑)。ただ一つの一族だけでこれだけ長い歴史と伝統を担ってきた牧場は他にないわけで、歴史的な話になると史料的にもシュレンダーハーンに優るものはなく仕方がない。また今年はSラインばかりでなく、英国二冠馬となったシーザスターズ(Sea the Stars)もシュレンダーハーン伝統のAラインの血を引いており、また先だってオーナーのカリンさんが亡くなられたということもあって、どうしてもこの牧場に関心が引き寄せられてしまうのである。資料を引っ張り出して机の脇に積んだりしているので、しばらく折に触れてシュレンダーハーンの話になりそうだ。

posted by 芝周志 at 02:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬