2010年12月12日

リリエンタールとアンナドンナの母Anna Mondaとその牝系

 昨年の今頃ドイツ産母を持つミッションモードエイシンフラッシュについて取り上げていたので、今年もこの辺で1頭書いてみたいと思う。取り上げるのは、既に準オープンクラスで菊花賞にも出走したリリエンタールと11月府中最終日曜日に2000m新馬戦をデビュー勝ちしたアンナドンナの母アンナモンダ(Anna Monda)である。リリエンタールがそこそこ走ってるのだからさっさと取り上げていてもよかったのだが、単に間を逸したのとサボってたということで…。

 2002年生まれで2004〜05年に現役として活躍したAnna Mondaは、私自身も生でしっかり見てきた馬だ。2歳10月のデビュー戦では逃げてゴール直前に1番人気の牡馬Le Kingに交わされて2着であったが、3着がその11馬身後ろなのだから、この時点で抜けた牝馬であることは予想できる。そして3歳明け初戦の4月1200m未勝利戦ではスピードの違いを見せつけて2着Molly Artに7馬身差の圧勝で初勝利を得た。

 Monsun産駒というと、基本的にスタミナがあって重厚なチャンピオンディスタンスホースというイメージが強いが、このAnna Mondaの走りにはそういった重戦車のようなイメージはなく、スプリンターだった母父Salseの影響力が強いのかスピード能力の違いで押し切るタイプだ。それでも飛ばすだけ飛ばすというのではなく、テンの速さで先頭に立つと、中盤で淀みないペースながらもうまく息を入れ、直線でもう一度突き放すといった感じなので、その辺にMonsunのスタミナが活きているのだろう。

05Henkel-Rennen Anna Monda.jpg さて迎えたヘンケル・レネン(独1000ギニー・G2)でもその能力は如何なく発揮され、早々に先頭に立つとAnna Mondaに食いついてこられたのはQuadrupaだけで、そのQuadrupaも直線の坂で突き放されて4馬身差の2着、その後ろは8馬身離されるという引きちぎりっぷりだ。馬場は6.1の不良だったため、タイムこそ日本の1800m並だが、映像を見る限り決してダラダラしたレースではない。因みにこの時敗れた馬の中にはStacelitaの母Soigneeもいる。

 これだけ強いレースをすれば国内に留まる理由もなく、まずはフランスのG2サンドリンガム賞に挑戦する。しかしここでも逃げたものの、残り200mで完全に脚が上がり、一気に馬群に飲み込まれて7着。続いてグッドウッドのG3オークツリーSに出走したが、ここも7着に敗れた。印象としては早熟で、早々に能力を使い果たしたかに思われたが、一息入れてドイツ国内のオイローパ・マイレ(G2)に出走すると、再び1000ギニーを彷彿とさせる逃走劇を演じ、見事な復活を見せる。もっともこのレースではドイツ・マイル界を背負ってきた1頭Eagle Riseが直線で骨折転倒という悲しい出来事があり、そのライバルであったMartilloも友を思ってかその直後に脚が止まってしまい、勝ったAnna Mondaには申し訳ないが、その場にいた私には彼女のことを称える余裕がなかったことを覚えている。

 ところで私は個人的にMartilloをデビューから応援していたこともあり、彼がミラノのマイルG1、ヴィットーリオ・ディ・カプア賞に出ることになったので、私もミラノへ向かうことにした。尚、まったくの余談になるが、私は当日朝7:05発の飛行機に乗る予定だったのに、目が覚めたのが6:20で、青ざめながら荷物を掴んで家を飛び出し、タクシーを捕まえ、6:30に空港に着いてチェックイン、なんとか飛行機に乗り込んだのである。家から空港までバスで15分という立地条件だからこそ出来たことではあるが、フライト時間の45分前に起床して間に合うもんなんだなと、我ながらえらく感心したものだ。

 話を戻そう。オイローパ・マイレを快勝したAnna Mondaもミラノに向かうことになった。ただこの間に社台の照哉さんに買われ、主戦のムンドリーは黒黄のストライプ勝負服でレースに臨んだ。Anna Mondaはこれまで同様に先頭に立つと800mある長い直線の途中まで淡々とペースを刻み、残り300mを切ったあたりから仕掛け、内から追い込みをかけるMartilloを1馬身3/4差に押さえこんでG1のタイトルを手に入れたのである。個人的にはMartilloが敗れて悔しかったので、なんとなくAnna Mondaに対しては素直に賞賛できる記憶を持っていないのだが、しかし勝った内容はどれも文句をつけようがなく、彼女のスピードと最後まで潰れないスタミナは高く評価されて然るべきものだろう。

 以上がAnna Mondaの現役時代であるが、彼女の牝系ラインについても少し眺めてみよう。
上でも貼ったが、もう一度Pedigreequery.comの5代血統表をば。

 Anna Monda
 
 母Anna of Kiev、祖母Anna Matrushkaは英国産となっているが、そのまた前に遡るとしばらくドイツ産が続く。この牝系はレットゲン牧場に培われてきたAラインで、ドイツでの始祖はイタリアから輸入されたAdria。導入時の逸話でもないかと手元の資料をガサゴソ探してみたが、残念ながらこの馬に触れた記事は見つからなかった。6歳上の全姉Alenaが伊オークスを、2つ下の半妹Archidamiaが伊1000ギニーを制していることから、イタリアの良血ということになるのだろう。1930年代はフェデリコ・テシオ全盛期でもあり、イタリアから新たな血を導入するのは珍しいことではない。

 だがこのAdriaから何代かは目立った活躍馬もなく、この血統を大きく発展させたのは、Anna Mondaから4代母Antwerpenとその娘Anna Paolaになる。Antwerpenの子では牡馬のAsprosとAnna Paolaが2歳チャンピオン戦ヴィンターファヴォリート賞を兄妹制覇しており、Asprosは3歳時に独2000ギニーを2着、Anna Paolaはディアナ賞(独オークス)を制する活躍をしている。Anna Paolaの全妹A Prioriの孫にはE.P.Taylor S(加G1)を勝ったFräuleinがおり、また父にStar Appealを持つAnständigeの孫にはヴィンターファヴォリート賞とウニオン・レネン、古馬になって複数のマイル重賞を勝ったAspectusがいるなど、Antwerpenの血はAnna Paola以外を通じても現在まで豊かな広がりを持って受け継がれている。

 しかし最も優れた後継牝馬は、やはりAnna Paolaであろう。自身の直子こそ目立った活躍馬はいないが、孫の代では日本人にも馴染みのある名前が現れる。96年に来日して毎日王冠を制し、その2年後にも鳴尾記念で3着になったアヌスミラビリス(Annus Mirabilis)だ。また先ごろアメリカのフラワーボール国際Sでレッドディザイアを降しエリザベス女王杯にも来日したアーヴェイ(Ave)もAnna Paolaに繋がる牝系である。その他にも重賞勝ち馬は少なくない。

 改めてAnna Paola自身の血統に目を向けると、父Prince Ippi、その父Imperialというのが眼を引くところだろう。Prince Ippiは3歳でオイローパ賞に勝ち、古馬になってイタリア大賞(当時G1格、現在準重賞)を制した馬である。そしてその父Imperialはハンガリー馬で、25戦20勝、母国ではダービー、セントレジャーを制し、オーストリア、チェコ、旧東ドイツでもその強さを誇ったあと、西ドイツにも遠征、いくつか勝ち負けするも、ハンザ賞をレコードで制したことは、当時の西ドイツ人たちにも強い衝撃をもって受け止められた。Imperialはその後70年代前半、ハンガリーのリーディングサイヤーとして君臨している。このようなハンガリーの血を入れて成功させたのは実にレットゲン牧場らしい。レットゲンといえば、ハンガリーの歴史的名牝キンツェム(Kincsem)の牝系を、Wラインとして現在も引き継いでいる牧場として知る人ぞ知るところである。遡ればAnna Mondaにも、そういったレットゲンらしいハンガリーの血が注ぎ込まれているということだ。

 さて、すっかりレットゲンの血統として話をしてきてしまったが、Anna Monda自身の生産牧場はブリュンマーホフ(Gestüt Brümmerhof)である。この牧場自体は1989年からサラブレッド生産を始めた若い牧場で、基本的にオーナーブリーダーとして自家生産馬を走らせるより、セリで売る方に力を入れている。しかしAnna Mondaの活躍から、オーナーブリーダーとしても重賞に顔をよく出すようになっている。サイトのトップも今もってAnna Mondaだし、この馬が牧場にとって大きな転機をもたらしたといえるのだろう。Anna Mondaの母Anna of Kievは上でも触れたとおり英国産で、祖母Anna Matrushkaのときにレットゲンが英国へ放出したようだ。Anna of Kievはブリュンマーホフ牧場が英国から購入、その血を再びドイツに戻したものである。しかしながら、Anna Monda以前にこれといった活躍馬を出さなかったため、彼女が1000ギニーを勝つ前年、タタソールスのセリに出され、5000ユーロでアゼルバイジャンへと売られてしまった。現在Anna of Kievの子は牧場に残っていないので、照哉さんが提示した金額に目が眩んで、牧場の基幹牝馬と成り得る馬を放出してしまったといえなくもない。もっともブリュンマーホフ牧場がMontjeuやGalileoをつけることが出来たかどうかは分からないが。

 といった感じで、リリエンタール、アンナドンナの母Anna Mondaについて知ってること、ざっと調べてみたことをダラダラと書き連ねてみた。取り敢えずカタカナ表記の「アンナモンダ」ってのだけみて、「変な名前!m9(^Д^)」ってのはやめてね〜。
posted by 芝周志 at 23:08| Comment(1) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2010年08月11日

スボリッチ騎手引退

Starjockey Andreas Suborics kündigt Karriereende an

 短期免許で度々来日していたドイツのトップジョッキー、アンドレアス・スボリッチ騎手が8日ハノーファー競馬場で引退を表明した。彼は香港滞在中の4月に調教中の事故で頭部内出血の重傷を負い、今期はこれまで治療に専念していた。7月にGaloppOnline.deに載っていた記事では慎重な姿勢ながらも秋頃の復帰に向けリハビリに励んでいると語っていたのだが、頭部内という難しい個所の傷であるゆえに、最終的に医師から騎手復帰は危険すぎると言われ、引退を決断するに至ったということだ。

 スボリッチ騎手は1987年にウィーンでデビューし、生涯勝利数は1542。1971年ウィーン生まれで、国籍はオーストリア。スボリッチという姓は多分ハンガリー系で、遡ればハプスブルク帝国時代の隣国出身ということになるのかもしれない。実家は菓子屋。馬とは基本的に縁のない家庭の出身らしい。

 ウィーンから程なくドイツのミュンヘンへ移り徐々に頭角を現す。1995年には当時ドイツの2大厩舎の一角ブルーノ・シュッツ師の2番手騎手として競馬の中心地であるケルンへ移り、86勝を揚げる。それを見込まれ翌年レットゲン牧場の主戦騎手に抜擢されるが、シーズンスタートと同時に落馬骨折し秋まで戦線離脱を余儀なくされた。しかし9月に復帰するとA Magicmanでフォレ賞を勝ち、初のG1制覇を揚げる。その後はシールゲン厩舎でTiger Hill、ヴェーラー厩舎でSilvanoといった名馬に出会い、今世紀に入る段階でシュタルケと双璧をなすドイツのトップジョッキーとなった。Silvanoと世界転戦した2001年は、それまでの稼いだ賞金額を1年で稼ぐ活躍振りを示す。そして2003〜2005年にシュレンダーハーン牧場/ウルマン男爵の主戦騎手となり、2004年にShiroccoで念願のドイツ・ダービーを制した。シュレンダーハーンとの契約が切れた後は、あまり所属厩舎が安定せず大手馬主のいい馬に騎乗する機会が減ったため、絶頂期に比べると目立つ活躍も減ったが、しかしそのような少ない機会でも重賞では度々勝利を揚げて、ここぞというときの信頼感は確かであった。日本の短期免許滞在ではあまり目立った活躍はなかったが、2004年と2006年のWSJSで優勝し、日本の競馬ファンの印象にも残る騎手だったと思う。

 個人的にもズビ(ドイツでは皆からこの愛称で呼ばれていた)は最も思い出深い騎手だ。私の滞在中が彼の絶頂期だったというのもあるが、思い出してみると最初に自分の撮った写真にサインしてもらったのは彼だった(2003年1000ギニー)。その時にこんな真正面からの写真を撮らせてもらえたのも彼だからこそ(笑) 

suborics.jpg


 ズビはファンサービスをとても意識していて、重賞を勝利した時のウィニングランではいつもスタンドに向かって手を回し、観客を盛り上げていた。更にそれだけではなく、人気が低迷する競馬界の為に彼は少なからず一役買っている。例えばテレビの「この人の職業は何でしょう?」といったバラエティーショウに出演したり、もっと具体的に彼の生活を追ったドキュメンタリー番組にも出たりしている。

 更にとても印象深いものとして、数少ない競馬のテレビ放映の機会に、レースで騎乗しながら自ら実況するという企画にも挑戦しているのだ。当日の解説者だった元騎手ルッツ・メーダー氏は、このような騎手に無駄な負担を与える試みに対しあからさまに不満顔をしていたが、しかしズビ自身もそれが騎乗へのマイナスになることは百も承知の上で、視聴者への関心をより喚起させるための試みに自ら買って出ているのである。こんな企画は後にも先にもこれ一度きりだろう。貴重なものなのでYouTubeにもあげてみた。


(因みに準オープンクラスのこのレースを勝ったのは2004年カナディアン国際で2着になったSimonas)

 ズビは日本に幾度か来ていたため、競馬場で私を見かけるといつも「コンニチハ」と声をかけてくれ、勝利のあとに「おめでとう」と日本語で声をかければ、「アリガトウ」と答えてくれた。さすがに観戦エリア内でそれ以上の会話は普段は殆どしなかったが、ある日メインレースが終わって駐車場エリアから真横に見られるケルンの2400mスタート地点に行ったら、そのあとのレースのスタート前の輪乗りをしていたズビが、「来週はクレーフェルト(競馬場)に来ますか?」と馬上から話しかけてきて二言三言会話を交わすという楽しい体験をさせてもらった。ほかにもミュンヘンへ日帰り遠征した際、帰りの飛行機が一緒になって乗り降りの際に話したりもした。その際私のサイトのアドレスをあげたのだが、まあ覗きに来てる様子はなかったかな(笑) それでも騎手とのちょっとした交流を楽しませてくれたのは、いつもズビだった。

 怪我で引退というのは誠に残念だ。年齢もまだ40前だし、まだまだベテランの腕を発揮できたはずだ。

自分はかつて目指した以上のものを騎手として達成できた。今は別の形で競馬に関わっていきたいと思っている。


 引退表明の際にはこう語ったそうだ。彼なら鞍から降りてもきっとドイツの競馬界に貢献する形で活躍してくれるだろう。まずはゆっくり傷を癒し、近く競馬場を元気に闊歩する姿を見せてほしい。

 ズビ、お疲れ様!
posted by 芝周志 at 02:23| Comment(2) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2010年07月19日

第141回ドイツ・ダービーはゴドルフィンのBuzzwordが戦後外国馬として初制覇〜関係者コメント〜

 ドイツ・ダービーは戦前オーストリア、ハンガリー、デンマーク等の周辺諸国の馬にタイトルを奪われることはしばしばあったが、戦後は国内調教馬限定となり、再び外国馬へ扉が開かれたのは1993年。それから18年間ほぼ毎年外国馬の挑戦を受けながらドイツ勢がタイトルを守ってきたが、今年遂にドイツ・ダービー馬の称号が国境を越えた。ゴドルフィンの第2調教師アル・ザルーニが送り込んだBuzzwordがZazouとの直線での叩き合いを制し、優勝したのである。2着はウニオン・レネンを圧勝して臨んだZazou。3着にノルウェー調教馬のSir Landoが後方から追い込み入線するが、直線でRussian Tangoの進路を妨害し4着に降着。そのRussian Tangoが3着となる。

7月18日ハンブルク
第141回ドイツ・ダービー(G1, 2400m)


以下、関係者コメント(GaloppOnline.deより

フレンチ騎手(1着Bussword)
「ドイツは徐々にお気に入りの国になってる。昨年G1を勝ち、初めてのダービーも取れた。Buzzwordは強靭な馬で、G1を勝って本当に報われた。」(註:昨年オイローパ賞をJukebox Juryで勝っている)

ホーファー調教師(2着Zazou&5着Lamool)
「両馬とも実力通りに見事に走った。Zazouには最後の200mが長かった。2000mならG1に勝てる馬だ。Lamoolにはもう少しやわらかい馬場の方がよかっただろう。」

ヴェーラー調教師(3着Russian Tango&9着Scalo)
「Scaloはまったくまともなレースができてなかった。馬場も乾き過ぎていたのだろう。Russian Tangoの距離適性に対する問題には答えが出た。彼は素晴らしいレースをした。」

ノイロート調教師(4着Sir Lando)
「彼は最高のレースをした。降着は実に腹立たしい。ダービーで3着と4着では大きな違いだ。私はAppel Au Maitreでも4着になっているのだ。」

ジョンストン調教師(7着Monterosso)
「非常に残念だ。私の馬は勝ち馬には4馬身半差で勝ったことがあるのだから。彼には多分もっと長い直線が必要だ。」

シュタルケ騎手(13着Seventh Sky)
「最後のコーナーでは5番手までポジションを上げることが出来たが、その後伸びなかった。」
posted by 芝周志 at 12:49| Comment(2) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2010年07月17日

第141回ドイツ・ダービー予想

 まさか前日に終電まで飲むとは思わなかったので、当日になってしまった…。

 トライアル回顧は前々回記事に書いたので、早速ダービー予想に入ろう。

7月18日ハンブルク
第141回ドイツ・ダービー(G1, 2400m)20頭出走(補欠3頭)
(日本時間午後3時時点でKite HunterとGodotが出走取り消し確定。Lyssioが繰り上がり出走予定)
馬番
ゲート
馬名
GAG
斤量
馬主
調教師
騎手
1 15 Monterosso 98.5 58.0 Darley Stud Management Co.Ltd./England M.Johnston K.Fallon
2 1 Zazou 95.5 58.0 WH Sport International Mario Hofer O.Peslier
3 7 Buzzword 95.5 58.0 Godolphin Management Co.Ltd./England M.Al Zarooni R.Ffrench
4 8 Scalo 94.5 58.0 Gestüt Ittlingen Andr.Wöhler E.Pedroza
5 6 Kite Hunter 94.5 58.0 Stall Steigenberger Mario Hofer J.Victoire
6 2 Russian Tango 94.0 58.0 Rennstall Darboven Andr.Wöhler J.Bojko
7 17 Neatico 94.0 58.0 Gestüt Ittlingen P.Schiergen C.Soumillon
8 5 Lindentree 93.0 58.0 Stall Grafenberg W.Hickst Y.Lerner
9 18 Ustilago 92.0 58.0 Gestüt Röttgen W.Baltromei D.Boeuf
10 11 Baschar 91.5 58.0 Stall Litex M.G.Mintchev A.Crastus
11 9 Nordfalke 91.5 58.0 Gestüt Wittekindshof P.Schiergen A.Göritz
12 16 Keep Cool 91.0 58.0 Gestüt Winterhauch A.Löwe T.Hellier
13 14 Next Hight 90.5 58.0 Gestüt Ammerland P.Schiergen F.Minarik
14 20 Supersonic Flight 90.5 58.0 R & B Int. M.Rulec D.Porcu
15 10 Nightdance Paolo 90.0 58.0 Stall Hornoldendorf P.Schiergen Jiri Palik
16 3 Lamool 89.0 58.0 E.Sauren Mario Hofer A.de Vries
17 4 Seventh Sky 89.0 58.0 Stall Blankenese P.Schiergen A.Starke
18 12 Val Mondo 89.0 58.0 Stall Dipoli U.Ostmann I.Mendizabal
19 13 Jammy Shot 89.0 58.0 Stall Turffighter Andr.Wöhler M.Demuro
20 19 Sir Lando 88.0 58.0 Stall Perlen/Norwegen W.Neuroth/ Norwegen J.Fortune
21 0 Godot 88.0 58.0 Stall Elfenstein H.-J.Gröschel D.Bonilla
22 0 Lyssio 87.0 58.0 Gestüt Ittlingen P.Schiergen G.Masure
23 0 Mulan 85.5 58.0 Stall Steigenberger W.Hickst A.Pietsch


 昨年ダービー予想を紹介したドイツの競馬友だちヒネッケ兄弟から、今年もたっぷりとした予想メールが届いた。今年も現場ドイツ人競馬ファンによる今年のダービー展望を、メールをくれた順番に紹介しよう。
 (内容は抄訳。文脈から言及された順番を一部入れ替えたり、出走取り消し馬の話は削除してあります。)

◆弟マティアスの予想

 ドイツ馬のにはスタミナに疑問が残る馬が多い。全体として今年の馬たちはあまり信頼していない。前哨戦も特に言及すべきものに乏しく、ドイツの標準でも展開の遅いレースばかりだった。
 それゆえMonterossoに大きな期待をしている。この馬はいい馬で、距離も持つだろう。良馬場に合っているかは疑問が残るが、私はこの馬を気に入っている。これまで良馬場で走った内容から、ドイツの馬に対抗しても十分通用するだろう(註:今夏のドイツは好天続きで馬場が乾いている)。
 Scaloは分からない馬だ。ウニオン・レネンでのレース振りは検討材料にならないからだ。
 Neatico、Nordfalke、Russian Tango(いい馬ではある)は2400mは持たないと思う。
 Zazouのことは高く評価しているが、スタミナについては何ともいえない。4、5着には来る馬だと思う。
 英国馬のBuzzwordは、Monterossoには明らかに劣る。King Edward VII Stakesの内容から、Monterossoと比較し距離2400mが合ってるかも疑問だ。しかしチャンスは十分で、ドイツ勢にとっては怖い存在だ。私の評価としてはZazouと同じレベル。
 Lindentreeは距離適正はある。ただ上位3着に入るタイプではない。
 Bascharは来ると思わない。
 Sir Landoは驚かす可能性のある馬として注目しておきたい。ブレーメンのトライアルの成績は忘れていい。あの時はゲートで少しイレ込んでいた。うまく条件が合えば、上位5頭以内には来る。
 Ustilagoは入着の可能性はある。成績は足りないが、厩舎の調子はいい。
 Val Mondoは堅実ないい馬で、私が好きなタイプだ。しかし勝ち負けとなると難しいだろう。レベル的にあと一つ足りない気がする。
 Seventh Skyは、上位5頭に入るためには、ハノーファーのトライアルから更にもう一段成長しないといけないだろう。鞍上シュタルケには、血統や馬主等の関係で「お気に入り」の馬ではある。
 Supersonic Flightは、長い目で見ればとても期待できる馬だ。しかし現段階ではまだ少し足りない。
 Lamoolは所謂調教では走る馬。良馬場に合うタイプではない。
 Next Hightは血統から距離の持つ馬だ。しかしウニオン・レネンやフランスのリステッドの内容から、この馬は来るとは思わない。
 ということで、5頭選ぶと以下のようになる。


 Monterosso
 Scalo
 Sir Lando
 Zazou
 Buzzword

 
 馬単の軸はMonterossoだ。上記の上記の馬以外では、UstilagoとKeep Coolを三連単には絡めておこうと思う。

 最後に全く言及してなかったKeep Coolを三連単に絡めるとか、ちょっとツッコミを入れたくなったが(笑)、軸はMonterossoで已む無しとの見解。ドイツの馬には高い信頼を置けないということだ。Sir LandoやUstilagoを馬券に絡めようというところは、兄よりも賭博師気質なマティアスらしい。

◆兄ハネスの予想

 まず全体的な話として。
1.GAG98.5kgの馬がダービーに出走するなんて自分の記憶にない!これだけでもスゴイことだ。
2.但しGAGが実際の質より高く設定されているとは感じている。例えば今年の20番が88kgというのは高すぎだ。例年と比べてありえない。

 Zazouはドイツ馬の中では明らかにNo.1だ。成績全体において、国際的レベルでも。ウニオン・レネンを見る限り、あと200m伸びても大丈夫だ。
 Scalo…う〜ん。ウニオンの内容は切り捨てていい。その前に2レース勝っているが、同じ馬たちが相手でレベルは高くなかった。
 Seventh Skyを評価する場合は、ハノーファーでのSupersonic Flightとの斤量差は考慮すべきだろう。Supersonic Flightはハースロッホで1馬身勝ちに過ぎない馬だぞ!(註:ハノーファーでは、1勝馬Supersonic Flightの斤量が58kg、未勝利Seventh Skyが55kg。またハースロッホはローカル競馬場で総じて出走馬レベルが低い)
 Neaticoは面白そうだ。2週前のリステッド2着(古馬混合のハンデ準重賞2000m)の内容は評価すべきものがある。しかしMecicean産駒がダービーに合うか?
 Dai Jin産駒のLindentreeはダークホースだ。
 BascharとUstilago(バルトロマイ厩舎が調子いいので)は連下に押さえる。
 Buzzwordだが、驚くような成績の馬ではない。しかし3着以内に来る可能性はあるだろう。
 
 それにしても自分にとって今年のダービーに欠けているのが、出走馬に対するシンパシー(原文大文字強調)だ!単純に今年のメンバーには応援したいと思える馬がいない。私は気持ちで馬券を賭けるタイプだ。しかし今年はそんな気持ちが完全に欠落している。
 そういう意味でSchorcherが出走しないのは非常に残念だ。フランスで走った内容からチャンスはかなりあると思っていただけに…。
 大穴を開けそうな馬がいないわけではないが、そのような馬が勝つような場合は、それは私のダービーではない。ということで今年の賭け金は抑えめにして、凱旋門賞でエイシンフラッシュに突っ込む(註:このあとエイシンフラッシュは凱旋門賞へ行かないよとメールしときました)。
 ということで私の予想。


 Monterosso
 Zazou
 Neatico
 Ustilago
 Lindentree


 (ドイツ馬贔屓の自分たちにとって)運がよければ、Monterossoは来ないだろう。いやいや、それはない。この馬は十分強い。
 そんなことより、ディープインパクトの子が既に2頭勝ち上がってるね。でもこの時期の2歳戦はまだその後の主役を演じるものではないのかい?

 最後は日本の競馬が気になって仕方がない兄ハネス(日本競馬オタ)。もともとロマンチスト馬券派とは思っていたが、自らはっきり宣言してくれると清々しい(笑)。
 予想は結局Monterossoで諦めざるを得ないという感じだ。それに対しZazouがどれだけ対抗してくれるかといったところだろう。
 前々回記事では挙げていなかったが、2週間前のミュンヘンで古馬混合のハンデ・リステット戦が行われており、2歳時のレーティングトップNeaticoが滑り込みでダービー前に叩いてきた。ローテーション、距離適正に不安は残るが、シーズン当初は期待馬の1頭に上がっていた馬なので、一応の注目はしておきたい。

さて私が彼らに送った予想はというと、一応以下のとおり。


 Seventh Sky
 Zazou
 Monterosso
 Lindentree
 Scalo


 突如登録してきたMonterossoの評価には苦しんだが3番手にした。単にドイツ競馬基地の自分としては本命に置く気になれないというのが本音なのだが、一応無理矢理こじつけた理由を言うと、まず血統的に本質的にはステイヤーではないということ。またDubawiは重馬場適正が強いが、今年のハンブルクは好天が続いて良馬場がほぼ確実だ。しかし1週間の連続開催で馬場は例年通り相当荒れており、要はこのドイツ・ダービー特有の荒れ馬場への適正があるかどうかが重要で、そこは重適正とは違うスタミナと精神力が求められる。鞍上ファロンもドイツ・ダービーは久しく乗ってないし、敢えてその対応力に疑問符を付した。

 ヒネッケ兄弟からは評価を得られなかったSeventh Skyだが、私は今年のKing's Bestのトレンドと、ダービー実績のある母Sacarinaの血の力を信じて本命にした。兄SamumやSchiaparelliはデビューから活躍していたのに対し、確かにSeventh Skyは前走のトライアルに勝つまで未勝利だった。しかし徐々に成長している様子が見え、日本のエイシンフラッシュも英国のWorkforceもダービーで開花したように、今年のKing's Best産駒は遅れてやってきてこそ怖いと考える。

 Zazouは、ハネスも書いている通り、これまでの成績からドイツでは明らかなNo.1である。特に母系の血統はスタミナがある。ただこれまでのレース過程をみると、2000mがベストな気がし、2200mのウニオンでは残り300mの瞬発力勝負で勝ったものの、真の持久力が求められるダービーで対応できるかには僅かに疑問符が残る。あっさり勝たれたら仕方ないが、ここは敢えて2番手に下げた。

 Lindentreeは私の中のダークホースだ。ウニオンではZazouに完敗したが、早めに仕掛けてよく残った2着は評価できる。Zazouの猛烈な勝ちっぷりに目が奪われがちだが、2頭でロングスパートしていたら、もしかしたらZazouの脚が先に止まってLindentreeが差し返していた可能性も否定できない。

 Scaloはヒネッケ兄弟も書いている通り、最終評価が出来ない馬だ。トライアル回顧にも書いたとおり、勝った重賞2レースは楽勝だったとはいえ、明らかに相手のレベルが低かった。そして真の試金石になるはずだったウニオンでは、とことん不利を被って何も出来ずに終わってしまう。Lando産駒は決して2400mがベストではなく、母系もマイラータイプなので、距離適正にも不安が残る。この馬の本来の力が単に上位だった場合にはあっさり勝つかもしれないし、なんだかんだでLando産駒には勝ってもらいたいという思いはあるので(賭博師の弟マティアスもその気持ちは同感だと書いてた)、一応予想の中には入れておいた。

 馬券を買う場合は、自分は基本的に単勝主義者なのでSeventh Skyの単・複を1点。あとはSeventh SkyとLindentreeで上記の残りの馬にワイドで流す感じになるだろう。

 レースの鍵は直線でのコース取り。全体に馬場が荒れている中で、仮柵が外される内5mくらいが王道となる。早めにこの王道に切り込める馬が有利になるが、馬場荒れの少ない大外で勝負をかけるロングスパートが利く馬が一気に差し切ることがよくあるのもドイツ・ダービー。馬の能力だけでなく、コースを熟知した騎手の経験も重要なファクターとなる。

 というわけで発走は日本時間の19日午前0時30分。間もなくだ。
posted by 芝周志 at 05:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2010年06月27日

独ダービーのトライアルが一通り終わったところで

 昨晩ハノーファーで行われたトライアルが終わったところで、外国からの出走馬を除き今年のダービー候補はほぼ出揃った。後述するとおりまだ1頭、中1週で狙おうとしている馬がいることはいるが、とりあえず前哨戦をYouTube映像で振り返ってみよう。

5月24日ミュンヘン
バヴァリアン・クラシック(G3)2000m − Scalo

 (いつ聞いてもミュンヘンの実況はうざい…。)

 例年なら本番1ヶ月前に当たるステップレースだが、今年は祭日に合わせた前倒しとダービーの後ろ倒しで、間にもう一回走れるスケジュールで行われた。勝ったScaloにとっては、前走のバンクハウス・メッツラー春季賞(G3)で勝負をつけた相手が殆どで、しかもそのとき力関係が定まってなかった同厩同馬主のLangleyをペースメーカーに立てた、完全にお膳立てされたレースだった。それでいて直線入り口で前が開かず、一瞬ヒヤッとしたシーンがあったが、外へ出してからは先に抜け出していたWheredreamsareをきっちり差し切り、力の違いを見せ付けている。とはいえ、ここで本当の実力が試されたとはおよそ言い難いのは事実だ。

6月13日ケルン
オッペンハイム・ウニオン・レネン(G2)2200m − Zazou

 (左右で英独語同時実況とかうざすぎるだろ…。)

 1番人気となったScaloはここが真の試金石となるはずだったが、直線で内を突こうとする度に、逃げていたNext Hightがよれて進路を塞ぎ、一瞬躓く危うい場面があるなど、全くレースをすることが出来なかった。それゆえこの5着という結果は全く参考にならない。しかしスムーズに抜け出すことが出来ていたら勝てたかとなると、またそういう話ではない。Zazouがそんなたらればを言わせないほど圧勝したからだ。Zazouは春緒戦ドクター・ブッシュ・メモリアル(G3)を完勝した後、仏1000ギニーへ向かい、最後方からよく追い込んで5着。そして挑んだこのウニオンでも、最後方から直線でしばし進路が開かなかったものの、先に外を抜け出したLindentreeの更にその外へ持ち出してスパートをかけての完勝で、ぐうの音も出ないほどの強さであった。ダービー本番のゼッケン1番は、まず間違いなくこの馬になるだろう。

6月18日ブレーメン
swbダービー・トライアル(LR)2100m − Russian Tango

 残念ながらYouTubeやDailymotionでも映像発見できず。

 メールミュルヘンス・レネン(G2・独2000ギニー)3着のRussian Tangoとデビューから平場2連勝で前走がトップハンデで完勝だったLyssioが人気を分け合った。レースはAltair Starが作った緩いペースに、Lyssioが中団の内、Russian Tangoが後方で、馬群は密に固まった展開。そして長い600mの直線に入ると同時にスプリントとなって、外から追い込んだRussian Tangoが、内で叩き合うVal MondoとAltair Starを僅かに交わし勝利。Lyssioは切れの勝負に敗れた形で6着だが、勝ち馬からは2馬身離れていない。2100mレースでありながら、実質的には600mのロングスパートの競り合いであり、ハンブルクのハードな消耗戦の予行練習として適した内容だったかは疑問が残る。

6月26日ハノーファー
アクツィオン・ゾンネンシュトラール・ダービー・トライアル(LR)2400m − Seventh Sky


 ドイツの変動祭日によって開催日が固定されず、直行だったり間にもう1レース入ったりするが、近年ここの勝者が3頭もダービーを勝っているので、決して軽視できないレースだ。特に今年はダービー後ろ倒しにより、中2週の最終便となり、距離も2400mとなって、ローテーション的にも距離経験においても本番へ向けた好条件を備えている。
 1番人気には楽勝デビューを果たしたシュレンダーハーン牧場のSolidaro。だが1戦1勝馬で1.3倍はどう考えても被りすぎだ。結局後方を進んで直線多少伸びるも勝ち負けには絡めず5着。メンバーに手薄感があったとはいえ、ドイツの競馬オヤジたちはもう少し修行しろと。
 勝ったSeventh SkyはSamum、Schiaparelliという2頭のダービー馬の半弟で、デビュー戦は2.2倍と期待を集めていた。しかし2着、3着、3着と勝ちきれないレースが続き、ここでは4番人気に人気を落としていた。だが前走は直線でなかなか前が開かない展開ながら1馬身¼差の3着まで詰め寄っており、馬の成長は見えていた。そして今回は先団から早めに抜け出して馬場のいい外へ向かい、更に外埒一杯に伸びてきたSupersonic Flightを押さえ込んでの勝利。本番にうまく間に合ったと見ていい。

 ざっと振り返ってみたところで1番人気になりそうなのはというと、やはりウニオンを圧勝したZazouであろう。2歳で5戦しているあたりがあまり近年のダービー候補らしくなく、当初は早熟短距離系かと思っていた。だがハイレベルなところを戦っていただけあって、3歳になっても素質上位の実力を見せている。ただ父がShamardalで母Zaza Topもマイルから2000mの活躍馬だったので、2400mにはやや不安も残る。もっとも母父がLomitasだから、そちらの血が強く出てくれば距離もこなせるだろう。私のイメージとしては2歳チャンピオンでウニオンを勝った2006年のAspectusに被るので、本番であっさり裏切る可能性も否定できない。

 ウニオンで消化不良となったScaloは、とにかく分からない。父のLandoには、そろそろダービー馬を出してもらいたいという意味で期待したいのだが、母系は短距離に寄っており、ちょっと微妙ではある。ただ世代内での実力が上位であることは間違いないので、距離をこなしたときに多頭数でのせめぎ合いにどれだけ耐えられるかだろう。

 ブレーメンのトライアルを勝ったRussian Tangoは父がミスプロ系の短距離実績馬Tertullian。産駒は昨年のIrianに代表されるように、マイルから2000mに実績がある。しかし2400mとなるとなんとも。母のRussian Sambaは2000m前後まで距離をこなしているが、距離不安は確実に残る。ただメールミュルヘンスでもマイルの流れで一旦振り落とされかけたところからジリジリ詰めて3着に粘りこんだり、ブレーメンでもラスト600mの凌ぎ合いを最後に差し切っているので、最後にスタミナを残せる展開なら勝ち負けに絡む可能性もあるか。

 ブレーメン2着のVal MondoもLando産駒で、ここにもダービー後継候補がいるのだけど、この馬の母はScalo以上に短距離型のBig Shaffle産駒だし、距離不安は相変わらず残る。そもそもLando自身が現役時代良馬場専用機で、勝ったダービーはネレイーデ以来のレコード更新となる高速馬場だった。それゆえ産駒も重い馬場での実績馬が少なく、2000m前後の良馬場で能力を発揮するタイプが多い。そういう意味でLando産駒のダービー制覇ってなかなか難しいなと。

 ブレーメンで期待を裏切ったLyssioはMotivator産駒で、元々牧場の期待も大きかったと思われる。ただダービーを勝つにはスタミナだけでなく、馬群から抜け出す一瞬の切れも要求される。ブレーメンのレースを見る限り、この馬にはその切れがまだ備わっていない。今のところ物足りないというのが正直な感想だ。

 ハノーファーを勝ったSeventh Skyは、上述したとおり2頭のダービー馬の弟で、母のダービー適正は折り紙つき。そして父が今年のダービートレンドとなっているKing's Best。日本のエイシンフラッシュも英国のWorkforceも、徐々に力を付けていって本番を制したタイプだ。その意味でSeventh Skyも本番をターゲットに仕上がってきたといえるだろう。

 ここに挙げたトライアル組のほかに、あと1頭来週末のハンデ戦をステップに本番を狙っている馬がいる。Quilaliである。本当はハノーファーに参戦する予定だったが調整過程で一頓挫あり、1週スケジュールが遅れてしまったのだ。今年初戦を着差以上に楽勝して厩舎の期待も高く、なんとか本番に間に合わせたいようだ。しかしこのスケジュールの狂いを取り戻せるかは、とりあえず今週末のレース結果を見てからだろう。

 ドイツ・ダービー発走は7月18日。予想を立てるにはまだ早すぎるので、直前になったら改めて記事を書く。その際は、昨年も予想してもらったドイツ人の競馬オタ友だちにも、また予想を送ってもらうつもりだ。
posted by 芝周志 at 22:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2010年05月15日

ドイツへ渡った下級日本馬、日本へやって来た並血統ドイツ馬

 まず軽くキリスト昇天祭で祝日だった木曜ドルトムントのメイン。

◆5月13日ドルトムント
 シュパールカッセ・ドルトムント大賞(L, 2000m) <YouTube>

 ダービーへ向けたステップの一つで、2007年のJCで来日したSaddexが3歳時代に勝ったレース。今年の勝者Hollywood Kissも当然王道を進むのかと思ったが、しかし2400mまでの適正はないということで早々とダービー登録から外れていた。Nordfalkeとのラスト1F余りの叩き合いはなかなか見応えあり、ダービーに進まずともマイルから2000mの重賞での活躍は期待できる。父PaoliniというのもLandoの血の継承にも繋がる1頭だ。

 さて本題その1。この日はドルトムントのほかにローカル競馬場のハースロッホとマクデブルクでも開催があった。そのうちハースロッホの第1レースを意外な馬が勝った。

◆5月13日ハースロッホ
 4歳以上別定戦(ランクF, 2200m)

 最下級のランクF戦(参考:リステッド以上はA、3歳未勝利戦はD)の勝者の名はDanon Attacker。馬名のリンク先を見ていただければ分かるが、生産者が社台ファームの日本馬である。彼は昨年JRA3戦、門別で1戦して未勝利だったダノンアタッカーだ。仮にもJRAに所属した馬である。こんな草競馬レベルで負けるはずもなく、ドイツに来てこれで3戦3勝。
 しかしこのクラスの馬がわざわざ日本から買われてドイツにやってくるなんてことが、いまだかつてあっただろうか。母父にサンデーが入ってるあたりは多少魅力だろうが、しかし種牡馬にするほどの馬でもなさそうだ。調教師はレッケ、馬主はシュタール・ダンゲロ(Stall D'Angelo)でG1に出てくるほどの布陣ではないが、オープンレベルでは普通に常連であり、ハースロッホの草競馬で満足しているような陣営ではない。この馬がどのレベルまで上がってこられるか、楽しみに追ってみたい。

 本題その2。

◆5月9日京都
 3歳未勝利戦(芝1400m)

 一方今更気付いたのだが、先週日曜の京都でドイツ産馬のミラノムーンがデビュー2戦目を勝ち上がった。しかしドイツ産馬といっても、ミッションモードやリリエンタール、エイシンフラッシュといった重賞クラスの母を持つ馬ではない。ミラノムーンの母Moon Loveは3〜4歳時に5戦して未勝利で、GAGがたった51.1kgという、それこそダノンアタッカーが走ったレースレベルの馬だ。1994年生だが、最後に全馬リストが掲載されたGalopp2006(毎年3月頃発行。2007年版を最後に休刊)を見たらなんと12歳で現役登録されている。ミラノムーンは2007年生まれだから、Galopp2006の発行前後に現役登録を抹消して種付けをしたのだろう。
 父Tannenkönigも1998年にマイル重賞で活躍していたものの、結局16戦して勝ち星は3歳未勝利1勝のみという、トップホースと呼ぶには物足りない馬だった。種牡馬としてはマイルG3馬Proudanceを出すなど、そこそこ稼ぐ産駒は出しているものの、昨年の種付料は2000ユーロ(約24万円)でそれほどお高い部類には入らない。
 生産者のウルリケ・ティンマーマン(Frau Ulrike Timmermann)は個人馬主調教師でもあり、恐らく数頭の自家生産馬を自分で走らせているのだろう。Moon Love07、即ちミラノムーンをBBAGのオークションカタログで探してみたが載っていなかった。ということは庭先取引だった可能性がある。現馬主の山口義道氏が直接ティンマーマンから買ったとは想像し難いが、一体どういう経緯でこの馬を手に入れたのかは聞いてみたいところだ。

 と、いろいろネットで調べながら書いていたら気付いたのだが、ダノンアタッカーの馬主シュタール・ダンゲロの勝負服とミラノムーンの馬主山口義道氏の勝負服が似ている。何か関係あるのだろうか。山口氏って何者?

 Danon Attacker
 ミラノムーン

 ともあれ、独日それぞれへクロスして渡ったおよそ上等といえない馬たちが、それぞれの土地で小さな一歩を記したのは喜ばしいことだ。今後もこのクラスの行き来が続くのかはなんともいえないけれど、少なくともこの馬たちの走りは大事に見ていきたいと思う。


★追記1
 Stall D'Angeloって重賞クラスでも見たことあるけど、どの馬だったか思い出せなかったのだが、まはるさんのブクマの指摘で分かった。Toughness Danonだ。ダービー3着のあと、フュルステンベルク・レネン(G3)を勝った馬である。そして名前に「Danon=ダノン」。これは共同オーナーとしてダノックス、あるいは野田順弘氏が関わっている可能性が想像できる。このダノンアタッカークラスの馬がドイツに渡るというのも、なるほど最初から自分たちの所有馬ならありえるわけだ。
 Stall D'Angeloは、競馬では比較的最近見かけるようになったオーナーシップで、馬術競技馬も生産、所有している。サイトを一応見つけたのだけど、今のところイントロの写真フラッシュしかない。「Rich History」とか書いてあるから、馬術競技では古くから名が知られているのかもしれない。まだコンテンツがないとはいえ、言語選択アイコンに日の丸が含まれているのが、日本との関わりを十分想像させてくれる。
http://www.d-angelo.biz/

★追記2
 追記1を書いている最中にツイッターで笠雄二郎先生からご指摘が入った。ダノンアタッカーの母ゴールドポイントはネオユニヴァースの全姉じゃないですか!
 更にりろんちさんが私ではなかなか気付かない補足情報を載せてくれました。おお〜!この2頭と独日関係が繋がってくる〜!w
 是非こちらも合わせてお読みくださいませ。
 日本・ドイツ・ロシア: まったり血統派の茶飲み話
posted by 芝周志 at 02:27| Comment(5) | TrackBack(1) | ドイツ競馬

2010年05月11日

ドイツ・ダービー on YouTube

 ドイツ競馬の映像というのはビデオやDVDとして自分でそこそこ保有しており、また会員制ブックメーカーサイトで自分は見ることが出来る。しかし誰でも見られるYouTubeにアップされているものはどんなもんかと何となく探してみると、ここ2007〜09年は結構頑張って上がっているが、それ以前となるとかなり厳しい。せめてダービーくらいはと思ったが、とあるマニアックな方が80年代のAcatenangoあたりを載せてくれてるものの、90年代はほぼ壊滅の模様。

 ということで、自分からアップするのはいろんな意味で少々躊躇われるのだが、取り合えず00年代を数年分埋めてみた。05年、06年はDVDからエンコしないといけないので、まあそのうちに。90年代も一応以下各年の優勝馬名はリストアップしておく(※但し84年は自分でも持ってないので、いずれ誰かがうpするまで空欄確定)。

★追記1
 ドイツの競馬フォーラムサイトで日本競馬情報もよくフォローしてるSea Bird氏がDMで自分宛にタレこみしてくれた。British Patheという動画サイトに、60年代のダービーを主に、果ては1937年ダービーの映像まであるのを教えてくれたのだ。Abendfriedenが勝った37年の映像では、ナチ自治相ヘルマン・ゲーリンクが楽しそうに観戦している姿まで映っている。下方に貼り付けたので、是非ご覧いただきたい。またダービーの他にも1963年、68年のバーデン大賞、1966年オイローパ賞(優勝はソ連馬Anilin)及び1932年当時とされるグラディッツ牧場の光景を撮った貴重な映像もあったので、加えてリンクしておく。
※リンク先に飛びます。多くは無声映像。

★追記2(10/6/19)
 95〜99年ダービー追加。

2009年 Wiener Walzer (GER) [ Dynaformer (USA) - Walzerkoenigin (USA) (Kingmambo (USA)) ]



2008年 Kamsin (GER) [ Samum (GER) - Kapitol (GER) (Winged Love (IRE)) ]



2007年 Adlerflug (GER) [ In the Wings (GB) - Aiyana (GER) (Last Tycoon (IRE)) ]



2006年 Schiaparelli (GER) [ Monsun (GER) - Sacarina (GB) (Old Vic (GB)) ]



2005年 Nicaron (GER) [ Acatenango (GER) - Nicol`s Girl (GB) (Dunbeath (USA)) ]



2004年 Shirocco (GER) [ Monsun (GER) - So Sedulous (USA) (The Minstrel (CAN)) ]



2003年 Dai Jin (GB) [ Peintre Celebre (USA) - Dawlah (GB) (Shirley Heights (GB)) ]



2002年 Next Desert (IRE) [ Desert Style (IRE) - Night Petticoat (GER) (Petoski (GB)) ]



2001年 Boreal (GER) [ Java Gold (USA) - Britannia (GER) (Tarim (GB)) ]



2000年 Samum (GER) [ Monsun (GER) - Sacarina (GB) (Old Vic (GB)) ]



1999年 Belenus (GER) [ Lomitas (GB) - Beaute (GER) (Lord Udo (GER)) ]



1998年 Robertico (GB) [ Robellino (USA) - Dance On the Stage (GB) (Dancing Brave (USA)) ]



1997年 Borgia (GER) [ Acatenango (GER) - Britannia (GER) (Tarim (GB)) ]



1996年 Lavirco (GER) [ Konigsstuhl (GER) - La Virginia (GER) (Surumu (GER)) ]



1995年 All My Dreams (IRE) [ Assert (IRE) - Marie de Beaujeu (FR) (Kenmare (FR)) ]



1994年 Laroche (GER) [ Nebos (GER) - Laurea (IRE) (Sharpman (IRE)) ]



1993年 Lando (GER) [ Acatenango (GER) - Laurea (IRE) (Sharpman (IRE)) ]



1992年 Pik Konig (GER) [ Konigsstuhl (GER) - Pikante (GER) (Surumu (GER)) ]



1991年 Temporal (GER) [ Surumu (GER) - Theresa (GER) (Zeddaan (GB)) ]



1990年 Karloff (GER) [ Esclavo (FR) - Kronungsrose (GER) (Soderini (GB)) ]



1989年 Mondrian (GER) [ Surumu (GER) - Mole (GER) (Espresso (GB)) ]



1988年 Luigi (GER) [ Home Guard (USA) - Locarno (GER) (Dubassoff (USA)) ]



1987年 Lebos (GER) [ Nebos (GER) - Litty (GER) (Soderini (GB)) ]



1986年 Philipo (GER) [ Prince Ippi (GER) - Prarie (GER) (Espresso (GB)) ]



1985年 Acatenango (GER) [ Surumu (GER) - Aggravate (GB) (Aggressor (GB)) ]



1984年 Lagunas (GB) [ Ile de Bourbon (USA) - Liranga (GER) (Literat (GER)) ]



1983年 Ordos (GER) [ Frontal (FR) - Ordinale (FR) (Luciano (GB)) ]



1969年 Don Giovanni (GER) [ Orsini (GER) - Donna Diana (GER) (Neckar (GER)) ]

GERMAN HORSE DERBY 1969




1968年 Elviro (GER) [ Orsini (GER) - Egina (GB) (Alycidon (GB)) ]

GERMAN DERBY




1967年 Luciano (GB) [ Henry the Seventh (GB) - Light Arctic (GB) (Arctic Prince (GB)) ]

THE GERMAN DERBY 1967




1965年 Waidwerk (GER) [ Neckar (GER) - Windstille (GER) (Avanti (GER)) ]

1965 GERMAN DERBY - HAMBURG HORN




1963年 Fanfar (GER) [ Sunny Boy (FR) - Friedrichsdorf (GER) (Athanasius (GER)) ]

LESTER PIGGOTT WINS GERMAN DERBY




1962年 Herero (GER) [ Borealis (GB) - Horatia (GB) (Rockefella (GB)) ]

GERMAN DERBY 1962




1961年 Baalim (GER) [ Mangon (GER) - Blaue Adria (GER) (Ladro (GER)) ]

GERMAN DERBY 1961 WON BY BAALIM




1960年 Alarich (GER) [ Mangon (GER) - Alma Mater (GER) (Ticino (GER)) ]

1960 GERMAN DERBY




1957年 Orsini (GER) [ Ticino (GER) - Oranien (GER) (Nuvolari (GER)) ]

HAMBURG - PIGGOTT WINS GERMAN DERBY




1950年 Niederländer (GER) [ Ticino (GER) - Najade (GER) (Oleander (GER)) ]

GERMAN DERBY




1937年 Abendfrieden (GER) [ Ferro (GER) - Antonia (GER) (Herold (GER)) ]

THE GERMAN DERBY




---以下、ダービー以外の映像---


1968年バーデン大賞 Luciano (GB) [ Henry the Seventh (GB) - Light Arctic (GB) (Arctic Prince (GB)) ]

(GRAND PRIX BADEN)




1963年バーデン大賞 Espresso (GB) [ Acropolis (GB) - Babylon (GB) (Bahram (GB)) ]

GRAND PRIX OF BADEN BADEN




1966年オイローパ賞 Anilin (SU) [ Element (SU) - Analogichnaya (SU) (Agregat (HUN)) ]

(RUSSIAN HORSE WINS PRIZE OF EUROPE RACE)




1932年グラディッツ牧場の光景

JUST HORSES - BUT WHAT STEPPERS!

posted by 芝周志 at 23:51| Comment(2) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2010年05月05日

独1000ギニーと春季賞他ドイツ3歳戦

 ぼけぼけダラダラと過ごしているゴールデンウィークではありますが、一応先週末のドイツではクラシック第1戦もあったことだし、軽く振り返っておく。

◆5月1日デュッセルドルフ
 ジャーマン1000ギニー(G2, 1600m)

 一昨年にディアナ賞が8月第1週にずれたことに合わせて1000ギニーも6月第1週に移行していたのだが、今年は3年振りにまた5月初旬開催に戻った。しかし3週間後の5月24日ケルンにもこの2年間1000ギニーのトライアルだった3歳牝馬マイルG3のシュヴァルツゴルト・レネンが組まれており、どちらが本番か分からない日程になってしまった。多分1000ギニー勝ち馬が6月にアスコットのコロネーションS(英G1)に出られるようにという配慮なのだと思うけど、あまりコンセプトが明確に見えないのが残念。

 事実日程の問題として、今年のヨーロッパは寒さが長引いたことにより、4月中に十分な調教を積んでシーズンスタートを切れた馬が少なく、冬のダート馬が芝でも好走するケースが目立っていた。2歳牝馬チャンピオン戦ヴィンターケーニギン賞馬のNeon Lightも4月に一叩きすることが出来ず、ぶっつけ本番で1000ギニーに挑むことになってしまった。道中5、6番手で進み、直線ではよく残っているが、結果は3着。1〜6着がNeon Lightを除き4月に一叩きされていたことを考えると、急仕上げであったかもしれない。

 勝ったKaliは、4月11日の未勝利戦を勝ち上がってのクラシック挑戦で金星。スタートして最初のカーブまでに2番手に付けると上手く折り合い、直線に入ってからも手応えよく、レース判定は「接戦」(Kampf)になっているものの、他馬をしっかり抑え切った勝利だ。鞍上デフリースは、45勝あげた冬のカタール遠征から帰国したばかり(アイスランドの噴火で飛行機が飛ばず、しばらく戻ってこられなかった)で、絶好調のままの好騎乗であった。

 オーナーブリーダーのフィンク氏にとっては、父Areion、母Kahluaともに自家生産馬での嬉しい勝利。それぞれの祖父がBig ShuffleとDashing Bradeで、ドイツ短距離種牡馬両雄による結晶でもある。

◆5月2日ミュルハイム
 バーバリス・レネン(L, 2200m)

 2歳女王Neon Lightがシーズン初戦を落としたのに対し、ヴィンターケーニギン2着のElle Shadowはギニーを回避して、やや手薄なメンバー相手の2200m準重賞を格の違いで余裕勝ち。8月1日のディアナ賞まではしばらくあるが、まずは順調なスタートを切った。もっとも8月に開催が移ってからのディアナは、6月以降頭角を現してきた馬が制しているので、まだまだ何が本命になるかは分からない。

◆5月2日フランクフルト
 バンクハウス・メッツラー春季賞(G3, 2000m)

 ギニー路線とは別にダービーを目指す馬のシーズン最初の重賞。人気はイットリンゲン牧場2頭出しのうち、厩舎主戦騎手のペトロサが選んだScalo。道中後方2番手から直線に入ると、前が開いたところを抜け出し、そのまま押し切っての勝利。とりあえずこのメンバー相手には力が上だった。しかし必ずしも強いメンバーが揃っていたとは言えず、Scalo自身抜け出してからふらふらするあたりは子供で、これでダービー有力候補に躍り出たかとなると、まだまだ疑問符は残る。Lando産駒で、Surumuからのダービー4代制覇に期待をかけたい1頭ではあるが、まずは次走が試金石か。

◆5月1日デュッセルドルフ
 3歳一般別定戦(1700m)

 4月18日ドクター・ブッシュ・メモリアル(G3)でZazouの有力対抗馬と目されながら、硬くなった馬場を嫌って回避したRussian Tangoが出走。3kg余分に背負いながらも、7馬身差に他馬を引き千切って圧勝。24日メール・ミュルヘンス・レネン(独2000ギニー)で、改めてZazouの有力対抗馬になりそうだ。
posted by 芝周志 at 00:09| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2010年04月22日

Overdoseの調教師交代と当面プラン

Overdose: Offiziell neuer Trainer für den Super-Sprinter

 Overdoseは、デビューから調教をつけてきたハンガリー人調教師リバルスキの手を離れ、新たにスロヴァキア人調教師ロシヴァル(Josef Rosival)が管理することになった。リバルスキは今年からドイツのホッペガルテンに移り、Overdoseもドイツを拠点とするプランであったが、共同馬主たち(日本の一口馬主の意味ではなく、Overdoseは数人による共同所有馬)が、「この馬はハンガリー馬で故郷の地で調教されるべきだ。」との要望したため、急遽このような事態になったということである。

 ドイツでは、ドイツ国内に厩舎開業の調教師許可を得た者は他国で同時に厩舎を持てないルールがあり、リバルスキはハンガリーでの厩舎を畳んで完全にホッペガルテンに移籍していたため、今更急にハンガリーへ戻ることができない。しかし馬主たちは、飽くまでハンガリー調教馬として走らせたい。それゆえOverdoseをリバルスキの管理下に置いておくことができなくなったのだ。

 とはいえ、いきなりブダペストでのトレーニング体制ができているわけではない。また新調教師のロシヴァルは、数ヶ月前にスロヴァキアからハンガリーへ移籍したばかりだという。それゆえ当面の妥協案として、まずOverdoseを一瞬ハンガリーに戻し、再びホッペガルテンへ連れて行って90日間の国外滞在調教扱いにするそうである。調教師は飽くまでロシヴァルであり、リバルスキがなんらかの形で関わるのかは記事に触れられてないが、恐らく厩務員等の一部スタッフを急に替えられないという事情があるのだろう。

 復帰プランは、まず5月9日ホッペガルテンの一般別定戦(1000m)で足慣らしの復帰、そして6月6日ホッペガルテンのベナツェット・レネン(G3, 1200m)に出走ということだ。当然ロイヤル・アスコット開催には間に合わず、G1挑戦は7月9日ニューマーケットのジュライC(6F)になると思われる。

 正直なところ、これだけ素質ある馬が周辺の都合に振り回されている状況は、あまり好ましいものではない。馬が万全に回復し、100%能力を出し切れる体制に早く整えてもらいたい。
posted by 芝周志 at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2010年04月17日

最近のドイツ競馬ニュース諸々(レース以外)

 先週末は初めて阪神競馬場へ遠征し、桜花賞の撮影にチャレンジした。しかし既に写真をアップしてあるとおり、ピントはぼけぼけだ。スタンド後方から撮ったものの、コースからのスロープが浅くて前方の人たちの頭がどうしても視界にちらつき、AFの焦点が合わせにくいのである。これは写真撮りにとってだけでなく、背の低い女性や子供にも見難く、スタンドの作りは観客にとってあまり優しくない。ゴール前はウィーナーズサークルで間近には寄れないし、そもそも中山同様コースが客席側より少し高くて撮り辛い。プロカメラマンも堂々とゴール前に立ち塞がってるし。全体的には小奇麗でいい競馬場なのだけど、なんか肝心なところで観客視点が抜けてる作りだと感じさせられた。また行くときは敢えてG1を外すなり、対策を考えないといけないと痛感。

 さて、ドイツの芝競馬もぼちぼちフォローしていかないといけないのだが、今のところレース面ではシーズンを賑わすインパクトのある馬が登場しておらず、ネタとしては今一つだ。しかしレース以外でピックアップしておくべき話題もいくつかあるので、ざざっと簡単に紹介する。

◆スボリッチが調教中に頭部内出血の大怪我
 "Bluterguss im Kopf: Suborics in Hong Kong außer Gefecht"
 短期免許で香港にいたスボリッチが今月初め(追記:TwitterでのSeaBirdさんの情報によると4月7日にレースに出てたということで、リンクしてある記事がドイツ時間の8日になってるから、事故は多分8日の朝)、調教中の事故("Schlag eines Pferdes"とあるので、馬にぶつかったか蹴られたか)で頭部に内出血を起こす大怪我をしていた。幸い内出血除去の手術は上手くいき、治療としては順調のようだ。当面飛行機に乗ることが出来ないためドイツには戻れず、騎乗への復帰も今のところ全く未定。取り合えず引退になるような話は出ていないので、無事の復帰を祈るばかり。

◆バーデン競馬協会破産による開催危機救済
 "Aufatmen: Rennsport in Baden-Baden endlich gerettet!"
 今年初めに突如起こったバーデン競馬協会(インターナショナル・クラブ)の破産裁判により、今期の開催が危ぶまれていたバーデン競馬場だが、複数の出資団体による新運営組織Baden Racing GmbHの設立合意が成立したため、秋の大開催と10月開催の目処が立った。Baden Racing GmbHは、フェアホフ牧場総帥のアンドレアス・ヤコブスが運営するスポーツ・マーケティング・エージェントSports & Media AG、競馬専門紙Sport-Weltを発行するDSV Deutscher Sportverlag GmbH等が出資し、バーデン競馬協会破産管財人、及びメイン銀行シュパールカッセ・ガッゲナウ・バーデンバーデンと合意が得られた。競馬場があるイッフェツハイム市やバーデンバーデン市もこれを歓迎。
 尚、春開催については既に他場への振り替えが決定しているため、今年は開催されない。重賞の振り替え先は以下の通り。

・ベティ・バークリー・レネン(3200m,G3)→ 5月30日クレーフェルト
・バーデナー・マイレ(1600m,G3)→ 代替なし
・ベナツェット・レネン(1200m,G3)→ 6月6日ホッペガルテン
・バーデン企業大賞(2200m,G2)→ 6月6日ホッペガルテン

 同じく長い伝統がありながら2005年に破産したホッペガルテンがメインを引き受けているのが、どこか象徴的というか、バーデン競馬場に対しても悲観的になり過ぎずに済む。レース名が「ベルリン大賞」というのもなんだか感慨深い。

◆ヘルフェンバインがオストマン厩舎へ移籍
 "Alles klar! Helfenbein wird Stalljockey bei Uwe Ostmann!"
 ホーファー厩舎の主戦だったベテラン騎手ヘルフェンバインが、急遽オストマン厩舎へ移籍することが決まった。ヘルフェンバインは1990年から1993年にも同厩舎におり、久し振りの古巣への復帰となる。ホーファー厩舎では娘のシュテファニー・ホーファーが力を付けてきていて、冬のダートでの貯金で現在リーディングトップ。それゆえ親父のマリオが娘に騎乗を回すことが多くなり、ヘルフェンバインはより多くの騎乗機会を求めて移籍ということらしい。オストマン厩舎ではイタリア人騎手ポルクーを主戦に、若手のP.ヴェアリンクと回してきたが、昨年はどちらも頼りなさを残していたので、安心できるベテランが欲しかったようだ。ヴェアリンクは厩舎で育てており、最近それなりに安心できる力を付けてきているので、ポルクーがクビになって、ヘルフェンバインとの2人体制になるのだろう。一方心配なのはホーファー厩舎だ。娘に肩入れする余りベテランに出て行かれてしまったが、ホントにシュテフィーちゃんに任せて大丈夫だろうか?大手馬主がまず逃げそうで結構やばいかもしれない。

◆最後にYouTubeの映像を紹介

 2000年ドイツ・セントレジャー(G2) Moonlady (エイシンフラッシュの母)(直線のみ)


 2003年ドイツ・セントレジャー(G2) Royal Fantasy (ミッションモードの母)
posted by 芝周志 at 13:11| Comment(2) | TrackBack(0) | ドイツ競馬