2010年07月17日

第141回ドイツ・ダービー予想

 まさか前日に終電まで飲むとは思わなかったので、当日になってしまった…。

 トライアル回顧は前々回記事に書いたので、早速ダービー予想に入ろう。

7月18日ハンブルク
第141回ドイツ・ダービー(G1, 2400m)20頭出走(補欠3頭)
(日本時間午後3時時点でKite HunterとGodotが出走取り消し確定。Lyssioが繰り上がり出走予定)
馬番
ゲート
馬名
GAG
斤量
馬主
調教師
騎手
1 15 Monterosso 98.5 58.0 Darley Stud Management Co.Ltd./England M.Johnston K.Fallon
2 1 Zazou 95.5 58.0 WH Sport International Mario Hofer O.Peslier
3 7 Buzzword 95.5 58.0 Godolphin Management Co.Ltd./England M.Al Zarooni R.Ffrench
4 8 Scalo 94.5 58.0 Gestüt Ittlingen Andr.Wöhler E.Pedroza
5 6 Kite Hunter 94.5 58.0 Stall Steigenberger Mario Hofer J.Victoire
6 2 Russian Tango 94.0 58.0 Rennstall Darboven Andr.Wöhler J.Bojko
7 17 Neatico 94.0 58.0 Gestüt Ittlingen P.Schiergen C.Soumillon
8 5 Lindentree 93.0 58.0 Stall Grafenberg W.Hickst Y.Lerner
9 18 Ustilago 92.0 58.0 Gestüt Röttgen W.Baltromei D.Boeuf
10 11 Baschar 91.5 58.0 Stall Litex M.G.Mintchev A.Crastus
11 9 Nordfalke 91.5 58.0 Gestüt Wittekindshof P.Schiergen A.Göritz
12 16 Keep Cool 91.0 58.0 Gestüt Winterhauch A.Löwe T.Hellier
13 14 Next Hight 90.5 58.0 Gestüt Ammerland P.Schiergen F.Minarik
14 20 Supersonic Flight 90.5 58.0 R & B Int. M.Rulec D.Porcu
15 10 Nightdance Paolo 90.0 58.0 Stall Hornoldendorf P.Schiergen Jiri Palik
16 3 Lamool 89.0 58.0 E.Sauren Mario Hofer A.de Vries
17 4 Seventh Sky 89.0 58.0 Stall Blankenese P.Schiergen A.Starke
18 12 Val Mondo 89.0 58.0 Stall Dipoli U.Ostmann I.Mendizabal
19 13 Jammy Shot 89.0 58.0 Stall Turffighter Andr.Wöhler M.Demuro
20 19 Sir Lando 88.0 58.0 Stall Perlen/Norwegen W.Neuroth/ Norwegen J.Fortune
21 0 Godot 88.0 58.0 Stall Elfenstein H.-J.Gröschel D.Bonilla
22 0 Lyssio 87.0 58.0 Gestüt Ittlingen P.Schiergen G.Masure
23 0 Mulan 85.5 58.0 Stall Steigenberger W.Hickst A.Pietsch


 昨年ダービー予想を紹介したドイツの競馬友だちヒネッケ兄弟から、今年もたっぷりとした予想メールが届いた。今年も現場ドイツ人競馬ファンによる今年のダービー展望を、メールをくれた順番に紹介しよう。
 (内容は抄訳。文脈から言及された順番を一部入れ替えたり、出走取り消し馬の話は削除してあります。)

◆弟マティアスの予想

 ドイツ馬のにはスタミナに疑問が残る馬が多い。全体として今年の馬たちはあまり信頼していない。前哨戦も特に言及すべきものに乏しく、ドイツの標準でも展開の遅いレースばかりだった。
 それゆえMonterossoに大きな期待をしている。この馬はいい馬で、距離も持つだろう。良馬場に合っているかは疑問が残るが、私はこの馬を気に入っている。これまで良馬場で走った内容から、ドイツの馬に対抗しても十分通用するだろう(註:今夏のドイツは好天続きで馬場が乾いている)。
 Scaloは分からない馬だ。ウニオン・レネンでのレース振りは検討材料にならないからだ。
 Neatico、Nordfalke、Russian Tango(いい馬ではある)は2400mは持たないと思う。
 Zazouのことは高く評価しているが、スタミナについては何ともいえない。4、5着には来る馬だと思う。
 英国馬のBuzzwordは、Monterossoには明らかに劣る。King Edward VII Stakesの内容から、Monterossoと比較し距離2400mが合ってるかも疑問だ。しかしチャンスは十分で、ドイツ勢にとっては怖い存在だ。私の評価としてはZazouと同じレベル。
 Lindentreeは距離適正はある。ただ上位3着に入るタイプではない。
 Bascharは来ると思わない。
 Sir Landoは驚かす可能性のある馬として注目しておきたい。ブレーメンのトライアルの成績は忘れていい。あの時はゲートで少しイレ込んでいた。うまく条件が合えば、上位5頭以内には来る。
 Ustilagoは入着の可能性はある。成績は足りないが、厩舎の調子はいい。
 Val Mondoは堅実ないい馬で、私が好きなタイプだ。しかし勝ち負けとなると難しいだろう。レベル的にあと一つ足りない気がする。
 Seventh Skyは、上位5頭に入るためには、ハノーファーのトライアルから更にもう一段成長しないといけないだろう。鞍上シュタルケには、血統や馬主等の関係で「お気に入り」の馬ではある。
 Supersonic Flightは、長い目で見ればとても期待できる馬だ。しかし現段階ではまだ少し足りない。
 Lamoolは所謂調教では走る馬。良馬場に合うタイプではない。
 Next Hightは血統から距離の持つ馬だ。しかしウニオン・レネンやフランスのリステッドの内容から、この馬は来るとは思わない。
 ということで、5頭選ぶと以下のようになる。


 Monterosso
 Scalo
 Sir Lando
 Zazou
 Buzzword

 
 馬単の軸はMonterossoだ。上記の上記の馬以外では、UstilagoとKeep Coolを三連単には絡めておこうと思う。

 最後に全く言及してなかったKeep Coolを三連単に絡めるとか、ちょっとツッコミを入れたくなったが(笑)、軸はMonterossoで已む無しとの見解。ドイツの馬には高い信頼を置けないということだ。Sir LandoやUstilagoを馬券に絡めようというところは、兄よりも賭博師気質なマティアスらしい。

◆兄ハネスの予想

 まず全体的な話として。
1.GAG98.5kgの馬がダービーに出走するなんて自分の記憶にない!これだけでもスゴイことだ。
2.但しGAGが実際の質より高く設定されているとは感じている。例えば今年の20番が88kgというのは高すぎだ。例年と比べてありえない。

 Zazouはドイツ馬の中では明らかにNo.1だ。成績全体において、国際的レベルでも。ウニオン・レネンを見る限り、あと200m伸びても大丈夫だ。
 Scalo…う〜ん。ウニオンの内容は切り捨てていい。その前に2レース勝っているが、同じ馬たちが相手でレベルは高くなかった。
 Seventh Skyを評価する場合は、ハノーファーでのSupersonic Flightとの斤量差は考慮すべきだろう。Supersonic Flightはハースロッホで1馬身勝ちに過ぎない馬だぞ!(註:ハノーファーでは、1勝馬Supersonic Flightの斤量が58kg、未勝利Seventh Skyが55kg。またハースロッホはローカル競馬場で総じて出走馬レベルが低い)
 Neaticoは面白そうだ。2週前のリステッド2着(古馬混合のハンデ準重賞2000m)の内容は評価すべきものがある。しかしMecicean産駒がダービーに合うか?
 Dai Jin産駒のLindentreeはダークホースだ。
 BascharとUstilago(バルトロマイ厩舎が調子いいので)は連下に押さえる。
 Buzzwordだが、驚くような成績の馬ではない。しかし3着以内に来る可能性はあるだろう。
 
 それにしても自分にとって今年のダービーに欠けているのが、出走馬に対するシンパシー(原文大文字強調)だ!単純に今年のメンバーには応援したいと思える馬がいない。私は気持ちで馬券を賭けるタイプだ。しかし今年はそんな気持ちが完全に欠落している。
 そういう意味でSchorcherが出走しないのは非常に残念だ。フランスで走った内容からチャンスはかなりあると思っていただけに…。
 大穴を開けそうな馬がいないわけではないが、そのような馬が勝つような場合は、それは私のダービーではない。ということで今年の賭け金は抑えめにして、凱旋門賞でエイシンフラッシュに突っ込む(註:このあとエイシンフラッシュは凱旋門賞へ行かないよとメールしときました)。
 ということで私の予想。


 Monterosso
 Zazou
 Neatico
 Ustilago
 Lindentree


 (ドイツ馬贔屓の自分たちにとって)運がよければ、Monterossoは来ないだろう。いやいや、それはない。この馬は十分強い。
 そんなことより、ディープインパクトの子が既に2頭勝ち上がってるね。でもこの時期の2歳戦はまだその後の主役を演じるものではないのかい?

 最後は日本の競馬が気になって仕方がない兄ハネス(日本競馬オタ)。もともとロマンチスト馬券派とは思っていたが、自らはっきり宣言してくれると清々しい(笑)。
 予想は結局Monterossoで諦めざるを得ないという感じだ。それに対しZazouがどれだけ対抗してくれるかといったところだろう。
 前々回記事では挙げていなかったが、2週間前のミュンヘンで古馬混合のハンデ・リステット戦が行われており、2歳時のレーティングトップNeaticoが滑り込みでダービー前に叩いてきた。ローテーション、距離適正に不安は残るが、シーズン当初は期待馬の1頭に上がっていた馬なので、一応の注目はしておきたい。

さて私が彼らに送った予想はというと、一応以下のとおり。


 Seventh Sky
 Zazou
 Monterosso
 Lindentree
 Scalo


 突如登録してきたMonterossoの評価には苦しんだが3番手にした。単にドイツ競馬基地の自分としては本命に置く気になれないというのが本音なのだが、一応無理矢理こじつけた理由を言うと、まず血統的に本質的にはステイヤーではないということ。またDubawiは重馬場適正が強いが、今年のハンブルクは好天が続いて良馬場がほぼ確実だ。しかし1週間の連続開催で馬場は例年通り相当荒れており、要はこのドイツ・ダービー特有の荒れ馬場への適正があるかどうかが重要で、そこは重適正とは違うスタミナと精神力が求められる。鞍上ファロンもドイツ・ダービーは久しく乗ってないし、敢えてその対応力に疑問符を付した。

 ヒネッケ兄弟からは評価を得られなかったSeventh Skyだが、私は今年のKing's Bestのトレンドと、ダービー実績のある母Sacarinaの血の力を信じて本命にした。兄SamumやSchiaparelliはデビューから活躍していたのに対し、確かにSeventh Skyは前走のトライアルに勝つまで未勝利だった。しかし徐々に成長している様子が見え、日本のエイシンフラッシュも英国のWorkforceもダービーで開花したように、今年のKing's Best産駒は遅れてやってきてこそ怖いと考える。

 Zazouは、ハネスも書いている通り、これまでの成績からドイツでは明らかなNo.1である。特に母系の血統はスタミナがある。ただこれまでのレース過程をみると、2000mがベストな気がし、2200mのウニオンでは残り300mの瞬発力勝負で勝ったものの、真の持久力が求められるダービーで対応できるかには僅かに疑問符が残る。あっさり勝たれたら仕方ないが、ここは敢えて2番手に下げた。

 Lindentreeは私の中のダークホースだ。ウニオンではZazouに完敗したが、早めに仕掛けてよく残った2着は評価できる。Zazouの猛烈な勝ちっぷりに目が奪われがちだが、2頭でロングスパートしていたら、もしかしたらZazouの脚が先に止まってLindentreeが差し返していた可能性も否定できない。

 Scaloはヒネッケ兄弟も書いている通り、最終評価が出来ない馬だ。トライアル回顧にも書いたとおり、勝った重賞2レースは楽勝だったとはいえ、明らかに相手のレベルが低かった。そして真の試金石になるはずだったウニオンでは、とことん不利を被って何も出来ずに終わってしまう。Lando産駒は決して2400mがベストではなく、母系もマイラータイプなので、距離適正にも不安が残る。この馬の本来の力が単に上位だった場合にはあっさり勝つかもしれないし、なんだかんだでLando産駒には勝ってもらいたいという思いはあるので(賭博師の弟マティアスもその気持ちは同感だと書いてた)、一応予想の中には入れておいた。

 馬券を買う場合は、自分は基本的に単勝主義者なのでSeventh Skyの単・複を1点。あとはSeventh SkyとLindentreeで上記の残りの馬にワイドで流す感じになるだろう。

 レースの鍵は直線でのコース取り。全体に馬場が荒れている中で、仮柵が外される内5mくらいが王道となる。早めにこの王道に切り込める馬が有利になるが、馬場荒れの少ない大外で勝負をかけるロングスパートが利く馬が一気に差し切ることがよくあるのもドイツ・ダービー。馬の能力だけでなく、コースを熟知した騎手の経験も重要なファクターとなる。

 というわけで発走は日本時間の19日午前0時30分。間もなくだ。
posted by 芝周志 at 05:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬
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