競馬脳がすっかり70年以上前に飛んでるところで、本日ばかりは現代に引き戻しておかないとということで、バーデン大賞。
9月6日バーデンバーデン
ファロン騎乗のYoumzainとデットーリ騎乗のEastern Anthemという何とも豪華な遠征組に対し、ドイツ側も新旧ダービー馬と古馬G1ホースで迎え撃つという、少頭数ながらも実に見応えあるメンバーが揃った伝統の一戦(ダービー2着馬Sordinoは当日出走取消)。レースは今年のダービー馬Wiener Walzerが淀みないペースで引っ張り、その直後に前年ダービー馬Kamsin。その後ろをGetaway、Youmzain、Adelar、Eastern Anthemが1列に連なる展開。3、4コーナーで各馬仕掛けにかかり、直線に入ると皆馬場の良い外へと雪崩れ込むと、他馬の騎手たちが懸命に鞭を振るう中、デフリースだけが静かに手綱を持ったままGetawayが先頭に躍り出、そこから鞭を入れると外埒へ向かって斜行しながらも一気に後続を引き離して勝利。
3馬身差の2着に来たEastern Anthemは本場場入場で、画質の悪いネット中継でも伝わってくる漲るような好気配を見せており、やはりラインラントポカールよりは伸びてきたのだけど、Getawayの充実度には敵わなかった。Youmzainは太めに見えたけど、しっかり3着に入っている辺りこの馬らしい。Wiener Walzerは結局いいペースメーカー役になってしまった感じだが、それでも差のない4着に粘っているのだから大したものだ。
Getawayの鞍上デフリースは、今年からシュレンダーハーン/ウルマン陣営の主戦騎手に抜擢されながら、肝心なときに結果を出せず、かなり苦しい立場にあった。特に陣営の馬が絶好調の活躍をしているにも拘らず、ダービーでは迷った末に選んだSuestadoが外れだったり、カタールのアラブ競馬との契約でドイツ賞(G1)でのGetawayに乗れなかったりと、悉くついていなかった。それゆえ今回、ポカールで接戦の末Getawayを破ったWiener Walzerではなく、改めて前者を選んだのは、彼なりの意地と拘りだったと思う。それが漸く正しい選択として結果となり、レース後スタンド前に戻ってきたときは、かつてないほどに喜びを爆発させていた。しかも実況のチャップマンが彼の事情を汲んで、取り分け彼の勝利を祝福していたので、彼の喜ぶ光景が益々輝かしく見えた。
オランダでリーディングを重ね、主戦場をドイツに移して9年目のイケメン、ナイスミドルな40歳。心からおめでとう!