サラッと過去2週。
2歳チャンピオンGlobusが一応1番人気に支持されるが、春の一叩き目で未勝利を抜けた馬たちも人気を分け合う。その混戦ムードを吹き飛ばし快勝したのは、シュレンダーハーン牧場のIrian。3月15日のデビュー戦を8馬身差で圧勝し、その勢いで一気に重賞制覇。2番手から直線で反応良く抜け出す安定した走りで、まだまだ強くなりそうなポテンシャルを感じる。父がTertullianで距離延長は不向きとみて、ダービーの登録はない。一応メール・ミュルヘンス(Gr.II・独2000ギニー)に登録はあるが、ミュンヘンのバヴァリアン・クラシック(Gr.III)へ向かい2000m路線にシフトするプランもあるようだ。Daring Tigerは最後方から追い込んでの2着で、この馬も今後伸びそうな気配。Globusは直線で伸びかけながら止まってしまったので、まだ仕上がりきってなかった様子。メール・ミュルヘンスまでに本調子へ持っていかれるかが鍵。
Kamsinが直線でやや苦しみながらも、最後には地力の差で勝利。休み明け初戦としては十分だろう。むしろ一旦Kamsinを交わして大穴を開けると思われたDwilanoを褒めてあげたい。この馬は小厩舎レマート師(といってもかつての名騎手。日本でいうなら郷原あたりか)の管理馬であるため、いつも不当に軽視されているところがあるが、前走も明け初戦でよく走っており、この2着も決してフロックではない。本来2000mがベストで、今の調子を維持しているうちに国外のGr.IIIあたりを狙うと面白いかも。グランプリ・アウフガロップを勝ってきたOstlandは直線でさっぱり伸びず最下位。Kamsinに対し、シールゲンはこの馬の調整をまともにやってたのか疑問を感じるよ。
Liang Kayが持ったままで余裕勝ち。ここでは格が違った。次走はバーデナー・マイレ(Gr.III)か2200mのバーデン企業大賞(Gr.II)のどちらかを狙う。
4月26日 ガネー賞(仏Gr.I)
Adlerflugがゲーリンク賞ではなくこちらに出走。直線内で前が詰まって追い出しが遅れたものの、よく追い込んで¾馬身+短首差の3着。2着Loup Bretonとは首の上げ下げの差だ。休み明け、良馬場で高速決着(2:09,43)という条件でよく走っている。次走はコロネーションC(英Gr.I)を予定しており、力馬Adlerflugにはこちらの方が向いていて楽しみだ。
今週も昨年度振り返りで取り上げた注目馬が登場。5月1日サンクルーのミュゲ賞(Gr.II)にはPrecious Boy、ミュールハイムの長距離準重賞ジルベルネス・バントにValdinoが出走する。また3日フランクフルトの3歳春季賞(Gr.III)では前走未勝利戦を7-2-9-5-34馬身で後続を蹴散らしたSaphirが人気を集めそうだ。
だがここで敢えて1日ブレーメン1Rに行われる平場戦It'sGino-Cupに注目したい。このレースは2008年6月1日以来未勝利(最下級条件を除く)の古馬戦で、明らかな格下か、デビューが遅れてまだ1、2戦しかしてないような馬が主に出走する。だがその中に1頭、過去のGAGが91kgの馬がいる。Löwenherzだ。2006年、2歳時にユニオーレン賞(準重賞)を勝った馬である。このレース、1番人気のNext Styleが直線でそつなく抜け出し、セイフティーリードを保ってゴールに逃げ込むかと思われた。一方Löwenherzは前が壁になってなかなか抜け出せず、直線半ばで漸く最内に1頭分の隙間が開くとそこへ躊躇い無く突っ込む。そして1完歩ずつNext Styleを追い上げ、並ぶ間もなく一気に抜き去ったのだ。このとき私はデュッセルドルフ競馬場の馬場でファインダー越しにこのシーンを見、シャッターを切りながら鳥肌が立ったのを覚えている。まだ銀塩で撮っていた頃なのでスキャン画像の画質が悪いが、よかったら見て欲しい(ココ。写真をクリックすると次の写真に移ります)。Löwenherzとは「ライオンハート」という意味で、レース後ヴェーラー師は「この馬は本当に獅子のハートを持っている。」と語り、3歳以降に大きな期待を膨らませていた。
しかし3歳初戦のブッシュメモリアルでは、発汗が酷く本調子とは言えずに4着。その後5月にフランスのGr.IIIに出るが6着に敗退して、それからすっかり音沙汰が無くなってしまった。この世界ではそのまま消えていく馬は数知れず、残念ながらLöwenherzもその1頭になってしまったかと私も諦めていた。
だが丸2年のブランクを経てLöwenherz戻ってきた。レース名もIt'sGino-Cupとは粋じゃないか。この間に去勢され種牡馬としての未来は断たれてしまったが、それこそ現役として復活させるだけの価値は残っていたということだ。ドイツの大手馬主は、馬に将来性がないと判断すると小規模な個人馬主に払い下げてしまう。しかしLöwenherzの馬主はフェアホフ牧場のままである。調教師がヴェーラーではなくストークスになっているが、彼は調教師資格を持ったフェアホフ牧場のトレーナーであり、レーシングマネージャーである。ドバイに遠征しているときのQuijanoなんかは、実際のところシールゲンではなく、現地で専らストークスが調教している。Löwenherzの調教師がストークスなのは、今回はまだ試走という部分が強いからだろう。だがこれで順調なスタートを切れば、今年のIt'sGino、いやむしろ同じくブランク後セン馬になって復帰し国際Gr.I級にまで登りつめたQuijanoのようになるかもしれない。フェアホフ牧場の若旦那ヤコプスやストークスは、正しく第2のQuijanoとして期待をかけているに違いない。となると、恐らくメインシーズン中は条件戦で慎重に力を付け、来年ドバイでブレイクというスケジュールになるのだろう。少々先は長いが、今から動向を見守っていて損はないはずだ。
まあ最後に正直に打ち明けると、この馬、当時やってたドイツ競馬POGの私の持ち馬なのである。しかし贔屓目以上の可能性は十分にある。
というわけで今晩注目な訳だが、実は伊勢参りと天皇賞観戦に行くため、結果確認は3日の晩になりそう。
