2011年07月03日

第142回ドイツ・ダービーです


 どんなに更新の少ない怠慢ブログでも、ドイツ・ダービーだけはスルーしませんよ!

 とはいえもう明日に迫って慌てて書いてるなうです…。

 例年通りドイツの競馬友達ヒネッケ兄弟からダービー展望のメールが届いた。私もさっき一生懸命ドイツ語で予想を書いて送ったところだ(たまにドイツ語書くとしんどい…)。OKはもらっているので、彼らの予想もざっと訳して紹介したい。

 その前に、まずは出馬表。ダービーはGAG(ドイツのレーティング)順に馬番号が決まっている。

馬番号

ゲート番号

馬名

GAG

馬主

調教師

騎手

1

4

Arrigo

95,5

Gestüt Schlenderhan

Jens Hirschberger

K.Fallon

2

18

Ametrin

95,0

Gestüt Schlenderhan

Jens Hirschberger

F.Minarik

3

8

Lindenthaler

95,0

Gestüt Ebbesloh

Peter Schiergen

W.Buick

4

11

Mawingo

94,5

Gestüt Schlenderhan

Jens Hirschberger

A.de Vries

5

7

Ibicenco

94,5

Gestüt Schlenderhan

Jens Hirschberger

T.P.Queally

6

16

Gereon

93,5

Ch.Zschache

Christian Zschache

J.P.Murtagh

7

15

Saltas

93,5

Gestüt Ittlingen

Peter Schiergen

A.Starke

8

2

Brown Panther

93,0

Owen Promotions Ltd./England

Tom G. Dascombe

R.Kingscote

9

9

Theo Danon

93,0

Stall D'Angelo

Peter Schiergen

A.Suborics

10

6

Silvaner

92,5

Frau M.Herbert

Peter Schiergen

T.Hellier

11

3

Earl Of Tinsdal

92,5

Sunrace Stables

Andreas Wöhler

E.Pedroza

12

10

Waldpark

92,0

Gestüt Ravensberg

Andreas Wöhler

J.Bojko

13

14

Sommernachtstraum

89,5

L.-W.Baumgarten u.S.J.Weiss

Waldemar Hickst

St.Pasquier

14

17

Ordensritter

89,5

Stall Nizza

Horst Steinmetz

D.Bonilla

15

13

Tahini

89,0

Gestüt Schlenderhan

Jens Hirschberger

M.Cadeddu

16

1

Appleby

85,5

Stall Schloss Benrath

Sascha Smrczek

D.Porcu

17

5

Mi Senor

84,0

Rennstall Darboven

Andreas Wöhler

Frau St.Hofer

18

12

Hoseo

67,0

Frau R.Sturm

Erika Mäder

H.Grewe



 今年の国外からの追加登録は英国のBrown Pantherのみ。ハンデ戦だが5戦4勝で波に乗ってやってくる侮れない相手ではある。しかしShirocco産駒なのでそれほど敵愾心が起きないのも事実ではあったり。

 さて、ドイツの友人ヒネッケ兄弟の弟マティアスが、これまた丁寧にも全馬の寸評を書いてきてくれた。まずは彼のメールを訳そう。


 2011年ダービーは、絞りきれない難しいレースだ。抜けた馬はいないし、大手厩舎のジョッキーが選択した馬にも驚かされる。ドイツ馬同士の間に差はない。Ordensritter、Mi Senor、Hoseoは圏外だが。Brown Pantherが倒すべき相手ではあろう。

Arrigo: 既に以前から厩舎期待の馬。しかしこれまでのレースから、明確な厩舎ナンバーワンの位置づけではなくなっている。どちからというと渋った馬場のほうがよい。
Ametrin: ステイヤー。見くびってはいけない。
Lindenthaler: 評価が難しい馬だ。自分の感覚としてはステイヤーではなさそう。
Mawingo: 紙面上はステイヤーではない。ArrigoとIbicencoとの間に殆ど差はない。厩舎主戦ジョッキーが騎乗。シュレンダーハーン牧場陣営では、2000mならナンバーワンだろう。しかし更に400mいけるかは疑問。
Ibicenco: ステイヤー。いい馬だ。3着以内には十分考えられる。
Gereon: 小さな馬主調教師の所有馬。このところは不運な騎乗のレースが続いた。3着以内のチャンスは十分にある。
Saltas: 6着以内ならあり得る。だが最後の一押しに欠ける。
Brown Panther: ロイヤル・アスコットで行われた面子の揃ったハンデ戦で、素晴らしいレースを見せた。英国の評価ではG2クラスの馬ということだ。馬主はサッカー選手のマイケル・オーウェン。重馬場ならドイツ馬をまとめて倒すことができるだろう。しかし良馬場だと状況は異なる。
Theo Danon: 2100mまでならいい馬だ。しかしステイヤーではない。それゆえ入着圏内は考えにくい。
Silvaner: (2歳チャンピオンだが)冬の間に十分な成長をしなかった。しかし格言にあるように「その馬のベストパフォーマンスを忘れてはいけない。」
Earl of Tinsdal: 個人的には持久力はあると思っている。一概には言えないのだけど。母はマイラー血統だが、ステイヤーとのかけ合わせでは、更に距離をこなせる産駒を出している。バヴァリアン・クラシック(G3)では落鉄していたので、Mawingoに対する敗北の言い訳は立つ。厩舎主戦ジョッキーが乗り、6着圏内はあり得る。
Waldpark: いまだよく分からない馬だ。私の見立てでは確実に上位には来る。主戦ジョッキーの選択した馬ではないといえども。
Sommernachtstraum: 6着以内ならありえるだろう。
Ordensritter: 気性難の馬。それゆえいい走りを出来ないのだろう。ウニオン・レネン(G2)では軽く進路妨害にもあってる。しかしはっきり言って入着圏内は難しいだろう。
Tahini: 紙面上はステイヤーではない。しかし穴馬としてチャンスはある。厩舎では存外に低く評価されている。今年のヒルシュベルガー厩舎の馬は、どれもチャンスがある。
Appleby: 未勝利馬。スタートが下手なところがある。しかし後から見てみるとスピードはある。入着はあり得るかもしれない。
Mi Senor: 馬主の希望で出走するが、ステイヤーではない。
Hoseo: 同じく馬主の希望で出走するに過ぎない。前の方に来ることも考えられなくもないが、実質的にはAgl.II(ハンデ2級クラス)の馬だろう。

 今年はいろんな可能性があり得る。ドイツ馬の中で抜けた馬は本当にいない。もう一度書くが、Brown Pantherは重馬場では強く、ドイツ馬にとってまず倒さねばならない相手だろう。しかし馬場次第で順位は変わる。はっきりとした順位予想は出来ないが、一応以下のようになる。

1. Brown Panther
2. Gereon
3. Mawingo
4. Arrigo
5. Waldpark
6. Ibicenco.

 Earl of Tinsdaleも加えていいかもしれない。AmetrinとTahiniも理論的にはあり得るのだが、厩舎の戦略の犠牲になってしまうだろう。


 以上、弟マティアスの予想。本命に挙げたBrown Pantherは馬場次第という感じだが、今年のハンブルクの馬場は非常に乾いていて、連日3.3〜3.6というハンブルクではこれまで自分はみたことがないような馬場数値を示している。先ほどネットで中継を眺めたところ、今日は雨が降っていて、馬も外埒に流れてはいたが、明日は内の仮柵が外されるし、内と外で結構伸びそうな感じだ。

 兄のハネスは弟ほど凝ってないのだが、一応ざざっと訳そう。


 今年はシュレンダーハーン牧場の独占状態と層の厚さに混乱させられる。ウニオン・レネンからAmetrinとArrigoはそれほど多くを見せていない。Mawingoはデフリースが選択した馬、Ibicencoは国際的に試されているし、Tahiniは唯一2400mを勝ってる馬だ。高いレベルで層が広がっているのか、それともダービーの勝者はシュレンダーハーン以外から出てくるのか?いずれにせよシュレンダーハーンを無視するわけにはいかない。昨年は散々な予想をしてしまったが(註:本命はMonterossoだった)、今年は以下の6頭で。

Arrigo
Brown Panther
Earl of Tinsdal
Gereon
Ibicenco
Waldpark

 アドリー(デフリース)!すまない!君の馬よりこっちのほうが距離が持つと思うんだ…。
 (ヴェーラー厩舎では)Wald Park(私の好きな馬)よりEarl of Tinsdalを上と見る。主戦のエディーがこっちを選んだからね。英国ではBrown Pantherはドイツ・ダービーでは無敵だろうという評価だが、見てみようではないか。


 ハネスはArrigoを本命にしてきた。元々の期待は一番高かった馬だからね。しかしその割にスパッと勝ちきれないがために、巷の予想を混乱させている原因にもなってるかなと。

 では最後に私の予想をば。

 一応先ほど主要な前哨戦を一気に観直してみたが、レースの印象がよかったのはIbicenco、Brown Panther、Waldparkだった。しかしそのまま単純にこの3頭というわけでもない。

 上にも書いたが、今年は馬場が非常に乾いている。1週間使い込んでいるので、決して馬場状態が良いとはいえないが、今日のレースでも外はよく伸びているし、同時に仮柵が外される直線の内埒沿いは確実に馬場がいい。この辺の要素をどう考慮するかも重要だ。

 恐らくシュレンダーハーンはAmetrinかTahiniをペースメーカーにしてくるだろう。少なくともAmetrinは先行する。ペースが極端に緩くなることはないと考えられる。そうなると定石通りなら、最後に脚を貯めて追い込んでこられる馬が有利にはなる。

 追い込みが効きそうなのは、Gereon、Mawingo、Silvanerといったところ。Gereonは年明け後ズブい競馬で勝負どころではまらず、最後に追い込んで2、3着になってるが、鞍上ボシュカイの衰えも否めず、今回ムルタを迎えることができたことで、タイミングよく大外一気を密かに期待している。

 Silvanerも年明け後イマイチだが、血統的には距離が伸びて更に良いタイプだし、ここで一気にはまる可能性も否定出来ない。

 一方Mawingoは落ち着いて終いを使える馬なのだけど、Tertullian産駒がダービーを勝つのは想像できない、というかなんか嫌だ。ってことで3着までなんじゃないかと(すまない!アドリー!)

 Arrigoにはデビューから潜在力の高さを感じており、この馬自身には結構期待をかけている。しかしまだ馬が出来上がってない感じもし、ダービーは入着までのような気がする。

 シュレンダーハーンの馬ではIbicencoが面白いと思っている。年明け初戦で未勝利を圧勝後、ロンシャンのリステッドで3着。そしてシャンティイのリス賞(仏G3、2400m)でKreem と競りあっての僅差2着(しかも0.5kg余分に背負っている)となり、確実に力を付けている印象を受ける。

 同じくシュレンダーハーンでは、ウニオンで逃げ粘ったAmetrinにも成長力を感じる。ペースメーカーになりそうな気はするが、ミナリクが完璧なペースメイキングをすれば、直線で仮柵の取れた内埒沿いを止まらずに駆け抜ける場面も考えられる。

 Waldparkは3戦3勝でどれも強い勝ち方。潜在能力は高そう。しかしこれまで倒した相手はどれも弱く、このメンバーに入ってどれだけのものはか、やってみないと正直分からない。勝ってしまえば別次元のレベルである可能性もある。主戦のペトロサがEarl of Tinsdalを選んだのにはちょっとビックリしたが、何となく限界の見えてるEarl of TinsdalよりはWaldparkの方が面白そうだ。厩舎2番手のボイコにとっても、一世一代のチャンスかもしれない。

 相手関係が分からないという意味では、Brown Pantherもどれだけのものかはやってみないと何ともではある。一応ロイヤル・アスコットのキング・ジョージ5世Sを見てみたところ、確かに強い。そして父Shiroccoにそっくりだと思った。その印象ゆえに、スタミナのいる馬場でこそ本領発揮するタイプではないかと思う。明日の馬場はちょっと?かも。

 ということで、予想としては以下のとおり。

◎Ibicenco
○Waldpark
▲Gereon
△Arrigo
△Brown Panther
△Silvaner
△Ametrin

 Mawingoも3着はあり得るかなと。しかし3着以内は固いと思わせる馬がいないのも事実。印を付けた7頭のうちどれが勝ってもおかしくはないと思っている。

 ということで、発走は現地時間3日17:35(日本時間4日0:35)。wktkしながら待つとしよう。

【追記】
 マティアスより現地からメールが来た。土曜日の馬場は後から再測定されて4.0(良)になったが、実際にはもっと重くなっているという印象を皆持っているとのこと。夜には一時的に強い雨が降り、まだ止まないので、当日の馬場は重くなるだろうと。それゆえMawingoの可能性は下がり、Arrigo、Brown Pantherのチャンスは広がった、Waldparkも面白そうだってことだ。
posted by 芝周志 at 01:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬