2016年07月10日

ドイツダービー予想です


 ご無沙汰してます。芝周志です。梅雨明けはまだなのに暑いですね。みなさんお元気ですか?

 ところで、ドイツダービーは7月第1日曜日開催が伝統なのだが、今年は2週目の本日10日開催。実は2006年ドイツ開催ワールドカップ以降、大規模なサッカー大会と日程が重なる年は、ダービーをずらすのが習慣化してきている。今年は第1日曜日がヨーロッパ選手権真っ只中だったので1週ずらしたわけだが、決勝と同日というのは果たしてずらした意味があるのか?もう開き直って伝統通りにやればいいのに。

 さて例年ダービー予想を送ってきてくれるドイツのオヤジ、ヒネッケ兄弟から、只今執筆開始時点ではメールが届いていなかった。もはや惰性になってきてたし、もしかしたら「もういっかな…」ってなってるかもしれないので半分諦めかけてたら、コメント抜きの予想だけ飛び込んできた。我々の伝統が辛うじて維持され、ホットする。

 ということで始めよう。

 まず今年のハンブルクの馬場はかなりヤバい。昨日の馬場状態は不良で、メインのハンブルク牝馬賞(G3、独オークストライアル)はゲートなしのフラッグスタート。馬群は向正面でも外埒沿いに固まり、非力な馬は直線入口手前でもう脱落し始める有様だ。相当なスタミナと精神力がなければ勝てない条件になっている。ダービーでは内埒の仮り柵が外されるが、連続開催前半で傷められているから、必ずしも状態がよいとは限らない。騎手同士の駆け引きも厳しくなりそうだ。

 ではまずサクッと我々3人の予想馬を書いてしまおう。尚、出馬表はこちら

【ハネス】
 Boscacchio
 El Loco
 Dschingis Secret
 Our Last Summer
 Larry

【マティアス】
 Boscacchio
 Dschingis Secret
 Wai Key Star
 El Loco
 Berghain

【芝】
 Boscaccio
 Isfahan
 El Loco
 Dschingis Secret
 Landofhopeandglory
 Larry
 
 3人全員が本命に挙げたBoscaccioは、デビューから負けなしの4連勝で、前走はメイントライアルであるウニオンレネン(G2)を勝利。必然的な1番人気馬だ。ウニオンの直線でEl Locoとの長い叩き合いを凌ぎ切ったところからも、スタミナと勝負根性はある。しかし不安要素がないわけではない。何よりの不安は鞍上デニス・シールゲンの若さだ。かつてのドイツNo.1騎手であり現トップ調教師ペータ・シールゲンの長男は、その人懐こい笑顔でファンからも人気があり、今回は父の馬ではなく中堅厩舎シュプレンゲル師より鞍上を託され続けての参戦。勝てばちょっとしたメルヘンになる。しかし上述のように今年の馬場は間違いなく難しい。デニスは決して天才騎手ではない。経験値を重ねて上手くはなってきてるが、果たして本番で上手に立ち回れるだろうか。私の場合は、半ば願望を込めた本命予想である。

 対抗としてはウニオン2,3着馬が3人共上位予想に挙がっている。2着だったEl Locoはデビュー勝ち以後、重賞4戦全て2着。いずれも決して大負けしてないが、キレはなく、逃げか先団につけてとにかく根性で粘り込むタイプ。仮に良馬場だったら評価を下げるつもりだったが、今回の馬場なら念願の勝利もありうるかもしれない。一方3着Dschingis Secretは中団から後方に控え、直線で追い込んでくるタイプ。前走の最後の伸びは前2頭よりよく、本番での逆転の可能性も感じさせたが、今回の馬場は決してこの馬の味方にはならないだろう。

 レーティング上1位であるWai Key Starは、バーデンバーデンのイットリンゲン・ダービートライアル(G3)をEl Locoに2馬身3/4つけて勝っているため、ウニオンでの同馬との着差から、相対的にBoscaccioより上位扱いになっている。しかしWai Key Starは直線での一瞬の切れ味が強みと思われ、我々3人の予想ではマティアスが3番手に残してるものの、ハネスと私はバッサリ切った。

 その他予想が被っているのでは、私とハネスが挙げたLarry。この馬は今のところ2戦全勝。但しまだ骨のあるタイプと対戦はなく、単純に実力は未知数。一応前走の勝ちっぷりはよかったので、もしかしたら3着以内に潜り込んでくるかも程度の評価。

 私一人上位予想しているのが、昨年のドイツ2歳チャンピオンのIsfahan。今期明け初戦である5月1日ミュンヘンのバヴァリアンクラシック(G3)で、格の違いを見せて勝利。しかし中2週で臨んだイタリアダービーは、1番人気に推されたものの5着。だが今回はそこからじっくり立て直してくるかもしれない。スタミナには確かに疑問符が残るのだが、こういう馬は軽視すると、してやられることがよくあるので、敢えて上位予想してみた。

 ただ、いずれにせよ今年は特に抜けた馬がいない。世代レベルとしてもあまり高そうな感じはしないため、ここで一皮剥ける馬が出てくることを期待したい。発走は日本時間17:10(日本時間0:10)。

 では、私はその前にWUGちゃんたちの出演イベント「D-World」vol.0に行ってきます。そして来週は待ちに待ったWUGライブ舞浜公演だぜ!
posted by 芝周志 at 16:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2015年09月27日

第35回オイローパ賞(G1・ケルン競馬場)を撮影しに来た


 8年振りにケルン競馬場へ帰ってきた。ケルン大学在学中の3年半、続けてデュッセルドルフで就職後も3年間、開催日の3分の2くらいは毎年通っていた、自分にとっては謂わばホームコースだ。景色、雰囲気ともに懐かしく心地よい。最初に仲良くなったクラウス・トゥフルやDanedreamのJC参戦の際来日してたフランク・ノルティンクら昔なじみのカメラマンたちにも会え、まさしく帰ってきたという気分だ。

 一応前日土曜日の2歳牝馬戦ヴィンターケーニギン・トライアル(リステッド・1600m)から撮影を開始したが、コース幅や撮れるポジションも東京や中山とは違いとても近いので、APS-CのEOS 7D MarkIIだと、ゴール前ではサンニッパは必要ない。かつてドイツにいた頃と同様ニーニッパをメインに。競馬場内の写真も含めヴィンターケーニギン・トライアルの写真は既にサイトにアップしてある(レース名をクリック)

 Preis des Medienhauses DuMont - Winterkönigin-Trial
 http://15races.shibashuji.com/

 さてオイローパ賞。国外からの参戦は2頭で、1頭はかつてドイツにいてカタールに買われたDubday。グッドウッドのG3を勝っての参戦で、鞍上がデットーリということでも注目される。もう1頭はフランスの牝馬Cocktail Queen。前走はドーヴィル大賞(G2)2着での参戦。はっきり言って2頭ともあまりレベルは高くない。

 迎え撃つは前走ベルリン大賞(G1)2着のIto。前走は逃げ粘って差されてしまったが、休み明けということで多少割引もあっただろう。ただバーデン大賞を直前熱発で回避したのが今回どう響くかが気になるところだ。

 もう1頭ドイツ馬で人気になっているのが3歳牝馬Nightflower。ディアナ賞(独オークス・G1)とバーデン大賞(G1)を連続2着での参戦。ここで一発も十分あり得る。

 その他、昨年のオイローパ賞勝馬Empoli、昨年のベルリン大賞馬Siriusと昔の名前が花を添える形だ。

 発走は日本時間の23:50。個人的にもレースを大いに楽しみたいと思う。
posted by 芝周志 at 19:32| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2015年09月20日

ポートレート撮影がんばってみた − 東京ゲームショウ2015@幕張メッセ


 すっかり忘れてましたが、このブログ、実は「カメラ・写真」というカテゴリもありました(ご挨拶)

 写真と言っても、普段はほとんどが競馬、たまに風景しか撮っていないのだけど、やはり時にはポートレートも撮りたくなる。しかし問題は被写体になってくれるモデルがいないこと。以前にコミケでコスプレイヤーを撮るということを何度かやっていたけど、背景がごちゃつきすぎて他の人の写り込みも多く、なんか諸々気持よく撮れないため、結局やめてしまった。しかしポートレートを撮りたい欲求はあったので、昨日幕張メッセの東京ゲームショウ2015でコンパニオンさんたちを撮ってきた。

 いや、第一の目的はこっちだったのだけどね(テヘペロ)
 https://goo.gl/photos/NuXazk9u5Tktq7bz8
 
 レンズは3本持っていったのだが、結局使ったのは1本だけで、装備としては以下のとおり。

 ボディ:EOS 7D Mark II
 レンズ:EF50mm F1.4 USM
 ストロボ:スピードライト430EX II
 BLUE LOTUS ストロボディフューザー

 絞りはF1.4で完全に開放すると、このレンズの経験上確実にピントが甘くなるので、一応少し絞ってF1.8固定で撮ってはみたが、なかなか焦点がピリッとはせず、やっぱり全体的に苦しかった。とはいえ、あまり絞ると背景がうるさくなるし、このへんはレンズの問題と、自分の訓練次第なのかなと。ストロボ発光量は1/64まで落とした上でディフューザーも付ける。

  

 左はISO200、1/250秒。右はISO400、1/200秒。ストロボは両方とも下向きにして床からの照り返しだけ狙ったつもり。先に撮ったのが左なのだけど、モデルの目線に合わせて少し屈んで正面から。まあ芸はないですね。フラッシュの照りは強くないから明るさは自然な感じだけど、ちょっと露出アンダーだったかな。右は膝をついて、少しあおり気味に。こちらのほうがフラッシュの明かりが下から来ている感じが出てるが、それほど違和感はないのではないかと。こちらのほうが背景が明るく、ストロボできっちり被写体を照らしたことで、写真全体が明るくはなった。

 因みに左の写真は開場から間もなく、コンパニオンさんもまだ撮られ慣れてない雰囲気だったが、右は1時間半くらい後に再度撮りにいったため、表情作りもノッてきていた。そういうのもポートレートでは大事なのかもね。

 

 これは確かフラッシュをほぼ正面に向けて撮ったものだけど、カラーコンタクトの雰囲気含めモデルがキリッとした表情をしてくれたので、こういうパッキリとした光の当たり方でもいいのかなと。

 

 これはちょっと角度を付けてみた。角度の付け方はいろいろ試してみたけど、その時コンパニオンさんがとってくれたポーズにもよるため、ある程度経験しないと、ベストなものを瞬時に引き出せないなと。

 

 どうしてもバストアップの写真ばかりになってしまうので、一応全身写真も試してみたが、50mmでフラッシュの発光量を変えずにそのまま挑めば、こんなもんよね。もう少し広角使って接近したほうがよいのか、発光量増やしてアングルを工夫するか、根本的に考え直し。

 

 この子は最初縦向きで撮って、角度も変えたりもしてたのだけど、ポーズを意識して横撮りにしたら、このほうが可愛く収まったかなと。

 その他コスプレしたコンパニオンさんも撮ったけど、イロモノ感が強くなるより、普通にカッコ可愛い衣装の子たちのほうが、結果として撮り甲斐あったかな。たださすが皆さんお仕事なだけあって、表情の作り方、撮られ方が上手い。またポートレートを試すなら、コミケよりこういう商用イベントのコンパニオンさん狙ったほうがいいね。

 その他まとめてこちらにアップした。
 https://goo.gl/photos/SLYfaJCZiAoBc8ot7

 

 因みに、この子も普通にコンパニオンさんのつもりで撮ったのだけど、もらったチラシを帰宅後に眺めてみたら、どうやらチラシに写っているユニットメンバーの一人のようだ。




 アニ☆ゆめProjectという声優ユニットというか、「参加型声優応援シミュレーション」とかいうプロジェクトの蝦名彩香ちゃんだそうだ。ちょっと調べてみたところ、まだ声優としての実績はほとんどなさそうだけど、まあそのへんはうちの推しユニット的にも他人事ではないので、気づいた時には「あ、あの時の…」くらいには意識して応援しましょう。

【おまけ】
 この人、完全にタレント化しとるな。

 
posted by 芝周志 at 13:23| Comment(0) | TrackBack(0) | カメラ・写真

2015年07月05日

もうすぐ熱い夏です。ドイツダービー予想です。


 こんばんは芝周志です。ご存じない方も大勢いらっしゃるかと思いますが、実はブログやってます。

 春シーズンの締めくくりである宝塚記念も終わり、今週から夏のローカルシーズンに突入して、日本競馬はとりあえず一息というとこではありますが、お陰で私は夏のツアーに向けてわぐちゃんモードが高まっています。先週末届いた昨夏ファーストツアー東京公演と暮れの幕張ライブイベントのBDを見て、「わぐちゃん最高かよ」という気分に改めて熱を帯びています。今回は当初8月8日の舞浜と16日の仙台のみ参戦予定でしたが、ツアー初日の7月20日大阪公演で新曲お披露目とあって、大阪昼の部のチケットも急遽取りました。土日西武ドームに参戦する某アイマスクラスタも三連闘でWUGライブ初参加ということもあり、益々熱い夏になりそうです。

 と、競馬脳が停止しかかった一昨日、ドイツの友人ヒネッケ兄弟から毎年恒例のドイツダービー予想メールが飛んできました。うん、やりましょう。伝統は途絶えさせてはいけません。実は今年は去年に比べると春からそれなりにチェックしてたんですよドイツ競馬。ということで、間もなく発走となるドイツダービー予想とまいります。出馬表はこちらへ。

 まあしかしヒネッケ兄弟も、私の翻訳の手間を気遣ってか、以前に比べるとすっかり簡易版になりました。ではまず兄のハネスの予想から。
 元気かい?ドゥラメンテが故障してしまったのは残念だ。パリで見たかったんだがなあ…。さてダービー予想だが、あまり翻訳しなくていいように簡単に。自分の本命はNutan。そこからShimrano、Areo(硬い良馬場なら)、Rogue Runner、そしてNordic Flight。さて、いったいどれだけ当たらないかね(^_<)

続いて弟マティアスの予想。
 自分の本命も同じくNutanだ。闘争心があり、自分の見立てでは"確実に"4着以内には入るだろう(注:ドイツでは多頭数だと4連単もあります)。タイプ的に本格化するまで時間を要し、いかにもダービー向きって感じだ。Areoは距離をこなすためには硬い馬場が必要だ。Shimranoはあまり好きではないが、成績は一番いい。入着レベルになると色々可能性は出てきてしまうが、一応自分のいつもの予想通り6頭に絞ると次のとおり。

 Nutan - Areo - Shimrano - Nordic Flight - Summer Paradise - Hot Beat

 というわけでドイツのベテラン競馬親父二人は揃ってNutanを本命。4月に2着でデビュー。5月未勝利戦で逃げ切り圧勝し、3走目の前走ウニオンレネンでも逃げ粘っての3着。直線半ばでShimranoに捕まった時はそのまま突き放されるかと思ったけど、よく踏ん張っていた。シールゲン師の息子デニスの追い方は動きに無駄が多かった感じがして、本番ではシュタルケに乗り替わりになり、ウニオンレネン組では確かに一番伸び代があるように思われます。

 ウニオンを勝ったShimranoは、安定感はあります。その前のハノーファーのリステッドも難なく勝っているし、当然のダービー一番人気馬。しかし例年の一番人気に比べると抜けた強さを感じさせず、ウニオン2着のAreoと3着Nutanとの間に、それほど決定的な差はないような気がします。

 そこで私は、敢えてウニオン以外の路線からNordic Flightを本命に。昨年デビューし、2歳は3戦未勝利、明け3歳初戦は2着でしたが、2走目に未勝利を脱出し、前走バーデンバーデンでのダービートライアルも勝って本番に駒を進めてきました。このバーデンのレースでは、直線で先に抜けだしたAnna Katharinaをジリジリ追い上げ、しっかり差し切っての勝利。3着以下には4馬身差をつけていて、ここではこの2頭が抜けていたのは明らかでした。そしてAnna Katharinaが昨日ディアナ賞トライアルに当たる3歳牝馬G3を、しっかり他馬を押さえて勝利したことで、相対的にNordic Flightの評価も上がったと言っていいでしょう。Anna Katharinaもディアナ賞(独オークス)の本命候補に躍り出たと言えます。

 その他ドイツの二人には穴としてFair Mountainを挙げましたが、これは年明け初戦の勝ち方が力強くてダービー向きかなと思ったからで、しかしその後2戦はあまり見せ場がなく、本番でガラッと変わってくれればという期待を込めて。因みにこの馬の母は2008年エリザベス女王杯に参戦していたフェアブリーズです。

 ということで、一応ドイツの二人に送った自分の予想は以下のとおり。

 ◎ Nordic Flight
 ○ Nutan
 ▲ Shimrano
 △ Areo
 穴 Fair Mountain

 あと加えて気になるのは、フランスのコンピエーニュのリステッドを勝ってダービーに追加登録したPalace Prince。もっともこの手の臨戦過程で少し人気になった馬は、ドイツダービーでは殆ど来ないので、父もAreionだし、入着はあるかなくらいで。

 それにしても今年のドイツダービーは、実のところあまり気持ちが盛り上がらない。何故なら今年3歳世代で明らかに力が抜けているヴェーラー厩舎の2頭がいないからです。ブッシュメモリアル(G3)、メールミュルヘンスレネン(G2)を完勝したKarpinoと、ミュンヘンのバヴァリアンクラシック(G3)で殆ど追わずに楽勝したQuasilloが故障で戦線離脱してしまったのは実に痛い。マイラー路線で来たKarpinoはいきなりの距離延長でダービーはどうかは疑問があったものの、Quasilloのほうは出ていたら圧倒的1番人気になっていたでしょう。Quasilloは蹄に問題が出たとのことで、年内復帰も怪しい模様。Karpinoは調教中の故障でどの程度の重さなのかは分からないのですが、このまま2頭とも年内復帰できなければ寂しいですね。古馬ではこの春本格化してきたシュレンダーハーン牧場のItoに、今後のG1戦線での活躍を期待したいとこです。

 ということで、ドイツダービーはこの後日本時間0:10発走となりますのでお楽しみに。
posted by 芝周志 at 22:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2014年11月21日

ドイツからWSJSに参戦するデフリースのフルネーム


 みなさま、毎度お久しぶりです。

 来週末のジャパンカップ、アイヴァンホウの参戦で2011年のデインドリーム以来のドイツ馬来日となり、いつもよりも撮影への緊張感が高まってます。またそれだけでなく、アイヴァンホウをバーデン大賞とバイエルン大賞という2つのドイツ国内G1勝利に導いたパートナーとしてミナリクも共に来日ということで、久しぶりにフィリップに会えるのが楽しみでもあります。ドイツ馬は国外に出走すると英仏のトップジョッキーに乗り替わることが多く、ミナリクも大抵国内限定でしたからね。当人は私のことなど覚えてないだろうけど、実はドイツにいた頃、パドックから本馬場へ向かう彼にドイツ語で「頑張れよ〜」と声をかけると、馬上から「サヨナラ〜!」と返してきて、「おい!帰れってか!」とアホな漫才で観衆を笑わせたりしてました。基本的に陽気なキャラで、客受けもいい騎手です。

 そしてもう一つ今回私をウキウキさせているのが、WSJSへのデフリースの参戦。オランダで12回のリーディングを経てドイツに主戦場を移してきた経緯から、彼にはちょうど似た時期に笠松から中央に移籍したアンカツさんのイメージが重なったりしていたものです。特にオランダのプッベン厩舎からドイツの重賞で活躍していたスプリンターLucky Strikeとのコンビは彼を語る上で外すことが出来ず、同馬がケルンのA.トリブールへ転厩してからもデフリースとコンビは続き、結局G3を独6勝、仏G3を1勝、モーリス・ド・ゲスト(G1)でも5着という成績を残し、ドイツのスプリント界に一つの時代を築いたといえます(因みにドイツにはスプリントG1がありません)。個人的には2着へ降着となった2005年のゴルデネ・パイチェ(G2)が思い出深く、翌週の開催で「先週は残念でしたね。」と声かけてこの写真にサインしてもらったときの彼の苦笑いが忘れられません。

 さて、ここでタイトルにも掲げたデフリースのフルネームの話に入りますが、実はJRAから発表された彼の名前を見て「んんん?」となったのです。

http://www.jra.go.jp/news/201411/pdf/111701_07.pdf

 アーノルダス・デフリース?

 ドイツでは普段アドリー・デフリース(Adrie de Vries)の呼び名で通っており、彼の出身地オランダのウィキペディアをチェックしても「Adrie」の記載しかないので、「アーノルダス(Arnoldus)」とはどこから出てきたんだと疑問に思ったわけです。もっとも「アドリー(Adrie)」とはいかにも短縮したニックネームっぽいので、フルネームはちゃんとあるのだろうとは推測出来るのですが、「アーノルダス(Arnoldus)」が「アドリー(Adrie)」というのはどうにも不自然。てなわけで、ドイツの競馬掲示板に超久しぶりに書き込んで質問したら、常連さんから早速回答をいただきました。

 デフリースのフルネームは「Adrianus Arnoldus de Vries 」です。フルネームが記載されいる記事も教えてもらいました。→こちら

 「アドリー」は「アドリアヌス(Adrianus)」のほうを略した愛称ということですね。JRAは何故「アドリアヌス」を省いてしまったのか。

 なんにせよ日本の競馬ファンのみなさん、来週彼に声援を送るときは是非「アドリー」と呼んであげて下さい。

 また、アイヴァンホウ騎乗のミナリクは「フィリップ・ミナリク(Filip Minarik)」。こちらは気軽に「フィリップ」と声をかけてあげましょう。

 それからついでに、既に日本でもお馴染みとなったドイツ人騎手シュタルケ。JRAの公式でも日本語版ウィキペディアでも「アンドレアシュ・シュタルケ」になってるのですが、アルファベットで書かれた彼の名前をよく見てください。「Andrasch Starke」になっています。「r」と「a」の間に「e」がありません。これでは「アンドアシュ」とは読めないのです。彼のファーストネームの本当の発音は「アンドラッシュ」です。なんで「レ」になってしまったのか不思議で仕方ないですよ。しかし客席からの声援は最早すっかり「アンドレ〜!」になってしまっているので、日本ではもうそういうニックネームってことでしゃあないのでしょうが。

 という感じで、JRAの公式表記であっても実際には怪しいものもあるので、人物の名前ですから、出来るだけ正しい発音に近いほうや、当人にとって馴染みのニックネームで呼んであげられたらよいなと思います。これを読まれたみなさんも、どうぞよろしくお願いいたします。
posted by 芝周志 at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 競馬その他

2014年07月06日

ドイツダービー予想、やらせてください!


 みなさん、こんばんわぐ〜!1年に1回ドイツダービーのときだけブログを更新してる芝周志です!(CV:青山佳乃)

 正直このまま死にブログになるかなと危惧してたのですが、ドイツの友人ヒネッケ兄弟が許してくれませんでしたw とはいえ、いつもはガッツリ予想を送ってくる弟マティアスも、今年は遂に簡易予想となってしまったので、来年はどうなることやら……。

 ではまずヒネッケ兄ハネスの予想メールを訳しましょう。

 (前評判同様)自分の本命もSea The Moonで決まりだ(ヘルフェンバインが乗れないのが残念だが)。2着以下はいろいろ可能性がある。順位付けをせずに挙げていくと、Giants Cauldron、Geoffrey Chaucer、Speedy Approach、Swacadelicといったところだろう。雨が降ればBorn to RunとOpen your Heartにも入着のチャンスはあるだろう。まあSea The Moonは負けないだろう。2年前にNovellistでも同じこと言ったが……。

続いて弟マティアスの予想。

自分もSea The Moonが明確な本命だと思う。スタミナに疑問符が付く馬が何頭かいるが、Magic ArtistとLucky Lion、またAmazonitやMaduraiも母系からそうだろう。Lucky Lionが勝ってくれればとは思ってるのだけどね。しかしLucky Lionはちょっと神経質な馬だ。最初に言ったとおりSea The Moonが固く、倒すべき馬でもある。Wild Chiefと、それより割り引くがSwacadelicも怖い。Geoffrey Chaucerは興味深いが、自分は押さない。Born to Runも確かに気になる。ChartbreakerとOpen your Heartは馬場が渋ったほうがよく、そうでないと無理だろう。

結論は

Sea the Moon
Lucky Lion
Wild Chief
Swacadelic
Karltheodor
大穴としてAmorous Adventure

 二人ともデビューから三連勝でウニオン・レネンを制してきたSea the Moonを絶対的本命馬と見ている。実際人気もSea the Moonになっている。

 では、日本からビデオだけでドイツ競馬を眺めている自分の予想をば。

 まず人気のSea the Moonからいくと、この馬は確かに高い能力を持っていると思う。ここま素質だけで勝ってきたと言ってもいい。だがそれ即ち、まだまだ馬が完成されておらず、走りっぷりに未熟さが現れてしまっている。どのレースも懸命に騎手が抑えながら逃げている感じで、ウニオンでは直線で追い出すと思い切り外へ向かって斜行し、審議を食らっていた。こういう馬はダービーのような多頭数のビッグレースでは取りこぼすことが多い。もっとも主戦だったヘルフェンバインが先日落馬したことでスミヨンに乗り替わり(実際は大した怪我ではなく今ハンブルク開催では既に勝ち鞍も上げているので、降ろすいい口実になっただけだが)、名手が上手く気性を押さえて御しきれば、もちろんあっさり勝ってもおかしくない。

 しかしレーティング1位でゼッケン番号1番となったのは、独2000ギニーのメール・ミュルヘンス・レネン勝者Lucky Lion。マティアスが触れているとおり、2歳時はブリンカーを付けてかなり危なっかしいレースをしていた神経質な馬だが、3歳になってから3戦はブリンカーを外し控える競馬が出来るようになって、明らかに一皮むけている。距離は1700mまでしか走っていないが、父はHigh Chaparral、母父Big Shuffleは短距離の印象が強いが、母父としては結構距離が持つ馬も輩出しており、問題ないと見ている。自分の本命はこの馬。

 前走ジョケ・クルブで4着に入ったWild Chiefが対抗。終始内の狭いところで厳しい競馬を強いられ、直線でもなかなか抜け出せない状況からラストで伸びてきた精神力は高く買いたい。

 複勝圏内ではウニオン3着のSwacadelicと最下位のGiants Cauldron。Swacadelicはハノーファーのトライアルで勝っている馬だが、安定感があり実力は出せるだろう。ただ勝ち切るほど強いかとなると、現状ではその域にはないだろう。Giants CauldronはSea the Moonの斜行被害を最も受けた馬で、最後は手を止めての最下位。順調に走っていれば、2,3着争いには混じっていただろう。

 もう一つのダービーステップに当たる重賞バヴァリアン・クラシックの勝馬Magic Artistは2000mまでの馬だろう。その他の出走馬もダービーには足りないと思われ、このレースからは今年はないと考える。

 あとは気になるクールモアのGeoffrey ChaucerとゴドルフィンのPinzoloだが、さすがにこのクラスの馬にやられているようではダメだろう。ここはバッサリ切り捨てる。

 ということで、

◎Lucky Lion
○Wild Chief
▲Sea the Moon
△Swacadelic
△Giants Cauldron

 そんな感じで、発走は間もなく日本時間0:05です。要注目。
posted by 芝周志 at 22:01| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2013年07月07日

今宵ドイツダービーでしたね


 みなさん、こんばんは。芝です。あけましておめでとうございます。

 さて、例年通りドイツダービーだけは取り上げるこのブログ、今年も早々にドイツのヒネッケ兄弟から予想メールが送られてきて、プレッシャーをかけられつつギリギリなんとか継続させることに成功しました。

 では、例年通りがっつり全出走馬コメントを書いてくる弟マティアスの予想をば翻訳。


Ivanhowe:まだミスをしていない馬だ。良馬場より渋ったほうがいいだろう。
Global Bang:2400mは持つだろうか?落ち着いた馬だけど、自分は懐疑的だ。
Nicolosio:重馬場がいい馬。軸には出来ないが対抗にはする。
VIF Monsieur:信頼出来る馬ではない。
Lucky Speed:スピードもある相対的にいい馬だ。シールゲン調教師は2400m持つのかやや懐疑的なようだが、自分はいけると思っている。私の本命。
Empoli:真のトップホースではない。調教師には期待するものがあるようではある。6着以内には来るのでは。
Tres Blue:安定した馬。ステイヤーとしていい血統。フランスでリステッドを勝っており、G3でも入着してる。注目はすべき。
Schulz:チャンスある穴馬。
Flamingo Star:6着以内はあるだろう。自分好みの馬だけど、2000m馬だろう。レースは時々落ち着かない。重馬場向きだが2400mは長いだろう。
Probably:2歳の頃アイルランドで重賞を走っている。6着以内なら驚きはない
Bermuda Reef:全く可能性がないわけではない。
Limario:よい2000m馬。2400mはちょっと長い。
Quienzieme Monarque:4月にアメリカから輸入された。向こうでは何度か重賞で4着になっている。ダービーでも4着はありえる。しかし2400mは多分ちょっと長いだろう。スタートがよくなく大抵後方からの競馬だし。スピードはある。
Saratino:父馬からもステイヤータイプではない。来るとは考えにくい。
Samos:成績からはなんとも測りにくい。カテゴリーとしてはチャンスある穴馬かな?
See the Rock:スピードはある。しかしこのクラスでどうかとなると、多分難しい
Noble Galileo:昨冬まではダービー候補といわれた馬。しかし今年はいいところなく、ここでは圏外か
Erlkönig:良馬場なら考えられる。ステイヤーだしスピードもある。その点は他の馬と比べて利点。上積みは必要だが、良馬場なら6着以内はありえる。
Nordvulkan:ダービークラスではないが、ステイヤーだ。

予想:Lucky Speed - Ivanhowe - Nicolosio - Quienzieme Monarque - Tres Blue - Limario



 続いて兄ハネスの予想。


IvanhoweかLucky Speed(両方共ケルンとミュンヘンで生で見た)がいいね。Ivanhoweは未完成なのに圧勝していた。Lucky Speedは名前にも栄誉が。

ハノーファーのNicolosioについては考えないといけないが、トライアルのレースレベルがどうだったかだ。Probablyを測りにすると低くはないと思うが、Nicolosioは重馬場でしか来ないと思う。天気は日曜も良い予報だ。年明け初戦がハノーファートライアルだったProbablyは上積みが期待できる。コンスタントに高いレベルで走ってる。

Flamingo Starはミュンヘンで勝ったかと思えた。いいステイヤーだと思う。

あとはGlobal Bang。去年から気に入っていた馬だ。まだヘマはしてないし、Manduro産駒でレベル的にも来れるだろう。

予想:Ivanhowe - Lucky Speed - Flamingo Star - Nicolosio - Probably - Global Bang



 では私の番ですが、正直言って今年は仕事が忙しく、ドイツ競馬をじっくり見れていない。そんなわけで、付け焼刃で今年の主要レースを見た上でざっくり予想。

 ケルン、ミュンヘン、ハノーファーのトライアル勝者はそれぞれ見どころある勝ち方をしており、まずはリスペクトしたい。その上で本命はハノーファーの勝ち馬Nicolosio。ヒネッケ兄弟は揃って重馬場専用と見ているが、むしろミュンヘンの勝ち馬Lucky Speedのほうがその傾向を感じる。Nicolosioのほうが器用さがありそうで、こちらを上位に。

 王道のウニオンレネンを勝ったIvanhoweは確かに見事な強さだったのだけど、経験が浅いままにあのような勝ち方をする馬は、ダービーで掬われることがよくある。シュレンダーハーン牧場主戦のデフリースが骨折で戦線離脱したため、鞍上に迎えられたのが日本でもお馴染みのデムーロ弟である。クリスチャンはいい騎手だとは思ってるけど、初コースにいきなり適応できるタイプじゃないかなと思い、しかも最内スタートなので割り引きたい。

 ちなみにIvanhoweの読み方だけど、実況で聞く限り「アイヴァンホウ」ですね。「アイヴァノウ」にも聞こえるくらい。

 他に気になるのは、フランクフルトのG3を勝ったVIF Monsieur。ミュンヘンでは惨敗してるが完全に重馬場にやられた口で、良馬場で逃げれば入着もありえると思っている。何より2歳から実績がある馬は、ダービーで結構活きる。

 その他、距離さえ持てば安定しているGlobal Bang、それとミュンヘンで見せ場を作ったFlamingo Star。Flamingo Starの鞍上ハンマーハンゼンは一時引退、トラックの運転手をやっていたこともあり、復帰後徐々に実績を積み上げてここまで復活した。最近乗れてるし、なかなか面白いと思っている。

 というわけで私の予想:
 Nicolosio - Lucky Speed - VIF Monsieur - Ivanhowe - Global Bang - Flamingo Star

 発走は日本時間本日23:30。昨年の1,2着馬は今年古馬になってもG1を勝って活躍しているし、要注目ですね。
posted by 芝周志 at 20:46| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬

2012年10月09日

【ケルン競馬場伝貧問題】現状更なる感染馬はなし


 Erstes Aufatmen in Sachen Quarantäne (German Racing)
 ”隔離検疫に関する件でまずはほっと一息”

 10月1日に発覚したケルン競馬場における伝染性貧血症の件、場内厩舎にて管理する全292頭の馬に対し行った隔離検疫だが、全馬陰性という結果が出た。まずは関係者みなほっと一息といったところであろう。

 但し、これは飽くまで感染症に対する抗体が血液中に出ていないということであり、即ち現時点で発症やその兆候を見せている馬がいないということである。伝染性貧血症の潜伏期間は3日〜3ヶ月ということなので、条例に基づき予定通り3ヶ月間は変わらず全馬競馬場敷地内から出ることは禁じられている。隔離状態が解除されるのは、3ヶ月後の再検査で再度全馬陰性という結果が出る必要がある。

 取り敢えずDanedreamもこの中に含まれていることになるので、彼女も今のところ無事であることが確認されたわけだ。

 昨日の凱旋門賞では、日本の競馬ファンの殆どが直線残り300mで歓声をあげ、残り50mで悲鳴をあげたのであろう。まあ私も確かに興奮させられた。しかしドイツ競馬基地としてはやはり「それでもDanedreamはその5馬身前にいたのだよ。」と妄想せざるをえない。恐らくドイツの競馬ファンたちも同じことを思っているに違いない。

 尚、オルフェーヴルの夢を破ったSolemiaがそれまでに勝っていた重賞はG2のコリーダ賞だけだ。

 コリーダ……

 過去に牝馬として凱旋門賞を連覇した唯一の馬の名である。コリーダ以来の偉業への挑戦を絶たれたDanedreamの無念は、コリーダ賞勝馬Solemiaに宿っていた。そういうことなのだろう。
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2012年10月04日

伝染性貧血症事件勃発後のシールゲン調教師への取材記事


 10月1日に発覚したケルン競馬場在厩馬の伝染性貧血症感染による競馬場封鎖の件、3日のケルン地元紙Kölnische Rundschauに、Danedream管理調教師シールゲンへの取材記事が掲載されていた。

 Verlängerung für Danedream? (Kölnische Rundschau)
 ”Danedreamは(現役)延期?”

 事件勃発翌朝、取材記者が競馬場を訪れたとき、そこが封鎖されている競馬場とは分からない光景であったという。というのも、普段通りに馬房が開かれ、調教が行われていたからだ。

 「馬たちを運動させてあげないといけない。馬房の中に立たせっ放しにしておくわけにはいかないからね。」とシールゲン師は言う。

 Danedreamについては、「彼女が感染していないことを祈るばかりだ。」とのこと。感染馬を管理していたヴァイス厩舎とシールゲン厩舎は100mほどしか離れていないそうだ。敷地構造的にヴァイス厩舎は4コーナー脇の施設なのだろう。

 「(凱旋門賞では)賞金をつかむチャンスは十分にあった。彼女は最高の状態だからね。」
 「まさにカタストローフだよ。」

 ただ年内の出走が不可能になったことで、Danedreamの現役が1年延長される可能性もあるのではないかと考えてはいるようである。

 尚、30日にミラノのヴィットーリオディカプア賞(伊G1)で2着になったシールゲン厩舎のAmarillo他、このレースを勝った同じくケルン競馬場所属のレーヴェ厩舎管理馬Amariro等何頭かの馬たちが、帰国途中に宿泊させたバーデン競馬場で足止め状態とのことだ。ミラノへの出発前に検査をして陰性だったため、バーデン競馬協会ではそのまま面倒を看ると提案しているが、もともとケルンにいた馬であるため、戻さねばならないかどうかは、ケルン市当局の判断に委ねられていること。

 シールゲン「私は両手を縛られているようなものだよ。」
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2012年10月03日

ケルン競馬場所属馬に伝染性貧血症発覚 ― Danedream、凱旋門賞出走不可に……


 昨夜2時10分、そろそろ布団に入ろうかと思ったその時、以下のツイートが飛び込んできて一気に目が覚めてしまった。



”理解できない!家畜伝染病がDanedream凱旋門賞連覇を阻む。競馬場と…(続きはリンクへ)”


 まさに何のことかまったく理解できず、「Tierseuche」という単語に馴染みがなかったせいもあり、半ば頭が混乱しながらリンク先へと飛んだ。そして更に見慣れない単語を確かめながら読みすすめると、ようやく事の重大さを理解し、愕然としてしまった。

 Danedreamを管理するシールゲン厩舎があるケルン競馬場で、同競馬場内他厩舎のある1頭の馬に伝染性貧血症の感染が確認され、それに伴い同競馬場内管理馬の隔離検疫、及び3ヶ月間の移動禁止令が発令されたのだ。即ちDanedreamは今週末10月7日ロンシャンで行われる凱旋門賞への出走が不可能となったのである。

 元ツイートのGerman Racingとはドイツ競馬の宣伝・広報を担う公式組織だ。ツイッターも云わばドイツ競馬団体の公式発表のものである。そしてこの直後に、ドイツ競馬2大情報サイト、GaloppOnline.de、及びTurf-Timesでも記事が上がり、ドイツ競馬統括組織である管理委員会(DVR)のサイトでも公式案内が掲示された。

 Kölner Bahn abgeriegelt - Danedream nicht nach Paris (GaloppOnline.de)
 ”ケルン競馬場閉鎖 ― Danedreamはパリへ行けない”

 Tierseuche: Renntag in Köln abgesagt - Danedream darf nicht im Arc laufen (Turf-Times)
 ”家畜伝染病:ケルンでの競馬開催中止 ― Danedreamは凱旋門賞走れず”

 Kölner Renntage 3. Oktober und 14. Oktober 2012 abgesagt (DVR)
 ”10月3日と14日のケルン競馬開催中止”

 いずれの記事も主旨は同じなので第一報時点での要点をまとめよう。

◆ミュンスター市の化学・獣医学調査機関がケルン市獣医局(Veterinäramt)へ、ケルン競馬場の1頭の馬が血液検査により伝染性貧血症に感染していると報告。ケルン市は条例に従い、感染した馬の殺処分、ケルン競馬場の閉鎖、全馬約300頭の隔離検疫、及び感染馬所属厩舎から半径1kmにいる馬の3ヶ月間の移動の禁止を指示。
◆これに伴いDVRとケルン競馬協会は、10月3日と14日に予定されていたケルン競馬場での開催の中止を決定。
◆感染源については、既にノルトライン・ヴェストファーレン州やラインラント・ファルツ州で症例が報告されているものと同様、動物病院で感染している馬に接触したものと思われる。
◆上記措置に伴い、Danedreamの凱旋門賞を始め、その他ケルン競馬場所属馬たちのレース出走は不可能となる。

 これらにやや遅れて報じられたイギリスRacing Postの記事ではDanedreamの共同馬主である吉田照哉氏のスポークスマン、パトリック・バーブ氏のコメントを取り上げているが、バーブ氏自身が伝聞情報の様子で、可能性は低いがなんとか凱旋門賞出走への期待を繋ぎたいニュアンスで書かれている。だが上記のように、ドイツ国内の報道ではこの時点で既に最終決定の様相を見せていた。

 第一報時点は現地時間の夜19時〜20時だったので、Danedreamの動向に関しては厩舎サイドを始め、まだ公式にはどこからも発表されていなかった。しかし現地翌朝、日本時間の2日夕方には状況は確定、フランスギャロへ正式に出走登録取消しが報告された。万全の準備を勧めてきたDanedream陣営は、思わぬ形で計画が潰れてしまい、やりきれない思いで一杯だろう。1936年、37年Corrida以来の牝馬による凱旋門賞連覇という偉業がかかっていただけに、無念というほかにない。シールゲン厩舎からは、しかし今のところ具体的なコメントは聞こえてきていない。容易に答えられる状況でもないのだろうが。

 それを示すように、Turf-Timesの続報によれば、ケルン競馬場とは別の調教場に厩舎をもつヴェーラー調教師のところへも、事態を心配した馬主等関係者からの電話が鳴り止まないとのことだ。ヴェーラー厩舎では馬主たちに安心してもらうため、管理馬全てに即時検査を行ったとのことである。

 またこのTurf-Times続報によると、ケルン競馬場理事ファスベンダー(※まったくの余談だが、ファスベンダーはケルン老舗カフェのオーナーで、ここのケーキや朝食メニューは最高である。)は、伝染性貧血症の報告を受けたと同時に条例に従った措置を実施し、また各国へも報告したという。伝染性貧血症は潜伏期間が3日から3ヶ月あるため、仮にDanedreamが既にフランスへ出発した後であっても出走停止処置にせねばならず、この段階で出走への望みは潰えていたのである。

 尚、感染した馬は、ケルン競馬場に馬房を持つ小厩舎サラ・ヴァイス調教師が管理する未出走馬で、まだ殆ど馬房から出たことはなく、他の厩舎の馬と接する機会は少なかったことから、恐らく感染は広がっていないだろうと、希望を込めてファスベンダーはコメントしている。シールゲン厩舎とはエリアも違うようだ。伝染性貧血症はアブ等の吸血性昆虫を介して伝染するものであり、すぐそばにいる馬にしか容易には感染しないという。ファスベンダー曰く、外部の動物病院にいた際にもらってきたものとのことだ。

 感染源については上記要点でも触れているが、今回の伝染性貧血症はケルン競馬場内で初めて発生したものではなく、実は8月以降既に症例が報告されていた。ドイツは乗馬関係が競馬よりも盛んな国なので、競走馬以外にも周辺には多くの馬がいるのである。感染源とされる馬がいたヴァハトベルク(Wachtberg)という町はケルンから南へ約50kmに位置し、現地の地方紙Rhein-Sieg-Rundschauでは9月中から伝染性貧血症に関するニュースを発信していた。

 2000 Pferde von Viruskrankheit bedroht (Rhein-Sieg-Rundschau 9/21)
 ”2000頭の馬がウイルス病に脅かされている”

 この記事によると、最初の発症例は8月中旬にライン・ジーク郡で報告された生後3ヶ月の馬で、この馬はヴァハトベルクの動物病院にいた10歳の輸血用牡馬10年間輸血用として使役されていた牡馬から血を受けていた。この牡馬がどこで感染してきたのかはわからないが、この当歳馬の他にも最低5頭の馬に輸血を行なっている感染が広がっている事実が明らかになった。これらの馬から更に感染が広がっていることも発覚し、(訂正:ここを発生源として感染が明らかになったのがこの記事の時点で合計6頭)結果として発生源となっている動物病院に過去にいたことがある馬たちも検査する必要が出てきたため、2000頭以上の馬が検査対象になるということである。

 このような事実に対し、何故競馬関係者は事前に対応できなかったのか、という問題も持ち上がってきたようだ。

 Ausbruch der Viruskrankheit war schon länger bekannt (GaloppOnline.de)
 ”ウイルス病の発生は既に以前から知られていた”

 今回の件は、単にDanedreamだけの問題ではなく、ドイツ競馬界全体が大きな損失を被る事態へと発展していくことになるだろう。

 それにしても、Danedreamだけでなく、Snow Fairyの故障、そしてつい先程報じられたNathanielの熱発により、有力馬が次々出走回避となってしまった今年の凱旋門賞。日本のオルフェーヴルにとってはライバルが減り、よりチャンスが大きくなったといえるのだろうが、同時に興醒め感も否めない。またDanedreamは、当然ジャパンカップにも来られなくなってしまった。私個人的には友人の競馬カメラマン、ゾルゲからの信任を受けたこともあり、彼女のラストランをドイツ競馬界のために撮るという責任をもって臨むつもりだったため、なんとも言えない虚しさに襲われている。つくづく残念である。
posted by 芝周志 at 01:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ競馬